研究課題/領域番号 |
19K13349
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
久野 譲太郎 同志社大学, 人文科学研究所, 嘱託研究員 (10755391)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ハイデルベルク大学 / 新カント派 / 学術交流 / ナチズム期 / ヴァイマール期 / 思想史 / 留学史 / 日独学術交流史 / 留学 / 日本人留学生 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、これまで全く注目されてこなかった、ドイツ・ハイデルベルク大学との学術交流の実態と性格について、主にナチズム期に焦点を当てて解明する。 それに際しては、まずは主として現地の大学公文書館にほぼ未認知の状態で保存される当時日本人留学生たちの資料を網羅的に収集・調査することで、学術交流の規模と傾向を実証的に解明する。また、留学生の思想体験とその理論展開を、彼らの著作や日記等を用いて分析することにより、学術交流の日本への実態的影響を思想史的にも解明する。 これにより、従来知られていなかった戦時期日本の学知・思想形成とその変貌過程ならびに性格の新たな側面を国際的視野の中で精密に明らかにする。
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研究実績の概要 |
今年度は、昨年度につづき、約3か月の現地滞在をおこない、本研究の主軸をなすハイデルベルク大学公文書館における資料調査・収集ならびにフィールドワーク、および現地研究者との意見交換等を含めた情報収集活動を展開した。 とりわけ今年度は大学公文書館にて、昨年度新たに発見した、ナチズム期はもとより、これに先立つヴァイマール期を含めた当時留学生たちの受講講義ならびにゼミリストのさらなる調査発見とその翻刻に力を入れた。これにより、当時日本人学生たちが現地で実際にいかなる講義を受け、またこれを通じてどのような教員や思想に接していたかを史料的に一層明らかにできるようになった。これらは当時留学の全体的傾向と推移を知るうえできわめて重要であるのみならず、同時に、留学生個々人の留学期における学問遍歴を思想史的に検討するうえでも必要不可欠な資料である。このため、昨年度につづく、当該資料のさらなる発見と収集、翻刻の進捗は本年度研究での大きな成果である。 なお、当該資料は数量が多いため全体の翻刻と発表には今しばらくの時間を要するが、その内容はヴァイマール期、ナチズム期と順を追って来年度以降、目録化のうえ公表の予定である(ヴァイマール期に関してはすでに『ヴァイマール期ハイデルベルク大学の日本人留学生ー在籍者名簿および現存資料目録ー』を作成し関係機関に配布済みであるため、これの増補版として、最終的にはより完全な目録の作成をおこなう予定である)。 加えて、今年度はこうしたハイデルベルク学知の受容実態を実際に思想史的に解明する作業も並行しておこない、まずは大正・昭和期を代表し、当時日本の社会科学の発展に多大な寄与をなした法学者である恒藤恭が、同時期ハイデルベルク学知の代名詞でもあった「新カント派」の思想をいかに受容して自らの法理論を展開していったのか、その理路を解明した。この成果は来年度学会誌に掲載される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウィルスの世界的蔓延に基づく渡航制限により、しばらくの間、本来、本研究活動の中核を形づくるはずのドイツ・ハイデルベルク大学公文書館等における資料調査・収集活動ならびに現地フィールドワークを展開することが不可能であった。また同じ理由から、ハイデルベルク大学側の研究者たちとの対面での討議もしばらくおこないえなかった。 一昨年度以降ようやく渡航と在外調査が可能となったものの、それまでの遅れを取り戻すことは未だ困難であり、このため、現在、研究計画段階での想定よりも調査、公表ともに大幅な遅延が発生している状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究方針としては、留学生個々人の思想史的分析と併せて、留学状況全体の基礎的研究と解明を同時におこなうこととする。ただし、後者は前者の基礎となるため、後者により比重を置いておこない、まずは資料の網羅的調査と翻刻、目録化の完成を優先させる。また、研究成果の国民に対する発信方法として公開講演や目録配布等をおこなうことについては、前年度進捗報告でも報告をおこなったとおりであり、変更はない。 そのため今後は、まずは本年度までに収集、調査した資料を整理、翻刻のうえ、さらに可能であれば次年度にも再度渡独して残りの資料の調査と網羅的収集にあたる。のち、それらを目録化したものを解説とともに順次公表する予定である。なお、その過程で引き続き、適宜現地の研究者ともワークショップや意見交換をおこなう予定である。
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