研究課題/領域番号 |
19K13355
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
平泉 紀房 金沢工業大学, 基礎教育部, 講師 (30747960)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2019年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 豊宮崎文庫 / 外宮御師 / 出口延佳 / 神宮文庫 / 伊勢神道 / 文庫籍中 / 御師 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、近世の伊勢外宮祠官らによる豊宮崎文庫の創建と、それに係る書物の集積活動とを通じて、伊勢神道再興の機運をもたらした神宮の学問的な背景に迫るものである。 豊宮崎文庫は、神宮に於いて「権任」と称された、下級祀官の養成機関であったとされ、その創建は、伊勢神道再興の祖と称される出口延佳の事績として数えられる。しかし、肝心の文庫の経営については、僅かに「文庫籍中」と称した同志達が与した事が指摘されるに留まっており、その内実については未だ明らかにされているとは言い難い。そこで本研究では、文庫の書籍収集事業の中心となった「籍中」の活動について、その実態解明を試みる。
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研究実績の概要 |
令和4年度は2度にわたり神宮文庫での資料調査を実施した。第1回は令和4年11月24日より2泊3日で実施。豊宮崎文庫蔵本の内、とくに『勢州宮崎文庫書目』に「秘書」として記録されている『続日本紀』(5門733号。15冊)『続日本後紀』(5門743号。20冊)の奥書を確認した。なかでも『続日本紀』は水野石見守所蔵本を書写していた事が記録されており、文庫衆による書写活動の一端を窺わせている。また神宮文庫所蔵の豊宮崎文庫蔵書目録(11号167号、168号、169号、215号、216号、1335号、1347号、1932号、3276号、3883号)を一通り確認し、これまでの調査で確認している目録と比較した。その他、先に見た水野石見守忠貞奉の奉納本や、外宮御師にして書肆でもあった藤原重兵衛の奉納本を一部確認した。 第2回の調査は令和5年3月16日から2泊3日で実施した。第1回調査に引き続き豊宮崎文庫における「秘書」ならびに連署人(複数人の文庫衆)による写本の調査を行なった。確認したのは『釈日本紀』(5門652号。12冊)『類聚大補任』(1問3337号。3冊)『神宮諸雑記』(1門7512号。3冊)『伊勢勅使部類記』(1門2075号。7冊)『西宮記』(7門991号。20冊)『旧事記玄義』(1門11694号。5冊)である。その他、文庫設立当初より精力的に書写活動に従事していた三日市帯刀(橘秀治)の奉納本の一部を確認した。ただし閲覧に制限のある特殊本の確認には至っていない。 加えて豊宮崎文庫の性格について、本来は文庫衆の利用を想定して作られたものが、長らく「外宮祠官の学問所」とされてきた背景には、承応の神訴と呼ばれる神宮の地位向上を狙った一連の活動があった事を指摘した「豊宮崎文庫と籍中について」(『日本学研究』第25号。2022年12月)を執筆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、長く他県への出張が制限されてきたことにより、神宮文庫での調査が遅々として進まなかったことによる。かかる事情を受けて科研費の補助事業期間延長の申請を行なった。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる本年は、夏季に神宮文庫における史料調査を予定している。その他、文庫衆として関与した外宮御師の活動地域と、目録に記録された奉納者との関係を分析し、文庫設立当初に文庫衆が書籍を求めた先を考察する。成果は年度末にかけて学会(神道宗教学会、日本学研究会など)にて発表する。また調査の概要と成果、各蔵書目録の一覧表を収めた研究成果報告書の作成を予定している。
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