研究課題/領域番号 |
19K13359
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所 |
研究代表者 |
藤間 温子 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 客員研究員 (00810368)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 出土文字資料 / 木製品 / 日本人 / 木の利用 / 伝世品 / 夾算 / 訓蒙図彙 / 重宝記 / 墨書木製品 / 木簡 / 分類 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、墨書木製品を研究対象とする。木製品出土地への調査や文献調査などで資料を収集し総合的に研究を進めることにより、これまで不明とされてきた木簡の用途や種類の解明が期待できる。古代において木簡は行政事務を主な用途として用いたが、中世以降にはさまざまな用途を持った木製品への墨書がおこなわれるようになる。墨書木製品を手がかりとして時代によって変化していった日本人と木簡との関係史を捉える。
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研究実績の概要 |
本研究は、墨書木製品の分類を手がかりとして、時代によって変化していった日本人と木簡との関係をあきらかにすることを目的としている。種々雑多な墨書木製品を分類するためには、時代が降るにつれて増加する墨書木製品の用途を見極めることが必要である。そのために、a)文献史料にあらわれる木簡の集成、b)伝世品を含めた(墨書)木製品と木簡の調査、c)墨書木製品の再認定とその類例の集積、以上3点について作業および調査をおこなう。単に墨書のある木製品として報告されている木簡の、その文字の意味を踏まえた分類をおこなうことで、日本人がどのような目的で木に文字を書いたのかという問いに答えを見出し、日本における木簡利用の歴史について考察する。 初年度以降3年目(令和3年度)までは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響があり、当初計画していた現地調査はほぼ実施できず、文献からの事例収集と墨書木製品一覧表作成を中心に作業を進めた。4年目(令和4年度)には史料集成の準備を進め、いくつかの現地調査をおこなえた。 研究期間の延長を申請し、5年目となった令和5年度は、史料集成刊行のためのデータ整理と事例追加を引き続きおこなったほか、木簡の現地調査に赴いた。データ整理作業は『木簡研究』を基におこなっており、前年度は木製品と分類されていない型式の木簡の事例収集をしたが、『木簡研究』未掲載資料も多数あることが判明したため、それらの収集に努めた。また、対馬でおこなわれた古文書学会では、対馬博物館を初めて訪問した。高麗版経の実見を目的に赴いたが、常設展示で籠字式の花押型が展示されており、紙と木と文字の関係を考えるうえで参考になった。そのほか、丹波丹後地方から出土している文字資料を調査する機会を得、本研究にも資するところがあった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和元年度後半から令和3年度にかけては墨書木製品一覧表作成と並行して、各地で出土した墨書木製品の調査を進める予定であったが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により、調査日程の調整がうまくいかなかった。感染の落ち着いた時期にいくつかの調査をおこなうことができたが、研究当初に予定していた調査はほとんど実施できていない。加えて、収集した事例の整理分類作業に時間を要している。延長期間を得ることができ、データ整理に時間を割くことができたが、作業が進むほどに新たな課題も増え、今年度での史料集成刊行は難しいと判断し、さらに1年の延長を申請した。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間延長により研究の6年目となる令和6年度は、年度前半では史料集成の刊行のために釈文を整えるなどの準備と『木簡研究』未掲載資料のデータ入力および整理に重点を置いて進める。また、研究のきっかけとなった京都府立丹後郷土資料館所蔵の田畑名寄帳の調査を実施する(調査日4月11日)。『木簡研究』未掲載の墨書木製品データを整理分類する作業を優先的に進めて、夏までに史料集成としての形を整え、秋以降に出版に向けての具体的作業に移る計画である。
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