研究課題/領域番号 |
19K13361
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03030:アジア史およびアフリカ史関連
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
渡井 葉子 中央大学, 人文科学研究所, 客員研究員 (40752382)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | アッシリア学 / 楔形文字学 / バビロニア / 女性史 / ジェンダー史 / 社会経済史 / 新バビロニア時代 / アケメネス朝ペルシア / 女性 / ジェンダー / メソポタミア / 社会経済 / 西アジア / 楔形文字 / プロソポグラフィー / アケメネス朝 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、紀元前7世紀から4世紀末(新バビロニア時代・アケメネス朝時代)のバビロニアにおける楔形文字文書史料、特に私的文書・行政経済文書・書簡といった実生活に関わる文書に登場する、様々な身分・立場の女性たちが、社会・家庭においてどのような権利・自由を持ち、どのような活動を行い、どのような経済的役割を果たしていたのかについて体系的に研究する。また、文書に登場する数千人におよぶ女性を網羅するデータベースを作成し、オンライン上での公開を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究計画では、紀元前7世紀後半から紀元前5世紀初めのバビロニアの女性の経済的立場・活動の体系的研究を目的としている。2023年度は、データベースの作成を継続し、その分析に基づいて学会発表、論文執筆を行った。また海外での資料収集および研究打ち合わせを行った。具体的な主要研究実績としては以下の通りである。 ①前一千年紀バビロニアの人名に関する概説書Personal Names in Cuneiform Texts from Babylonia (c.750-100 BCE): An Introduction (C. Waerzeggers & M. M. Gross (eds.), Cambridge University Press)の、女性の人名に関する章(第3章Babylonian Female Names)をフランス人の共同執筆者L. Cousinと執筆した。本書は2024年1月に出版された。②古代西アジア世界のジェンダー研究に関する国際ワークショップThe 5th Workshop of Gender, Methodology, and the Ancient Near East(2022年6月、ヘルシンキ大学)で行った発表を論文にまとめた。本論文では、都市民の家の女性の経済活動と、女性の経済的役割・立場の多様性を分析した。査読を経て当シンポジウムの論文集への掲載が確定しており、校正も終わっている。③5月、西洋史学会(名古屋大学)で研究発表「アケメネス朝ペルシア支配下のバビロニア史料に言及される王家の女性 」を行った。④9月、フランス・パリのコレージュ・ド・フランスのアッシリア学図書館および、パリ近郊ナンテールの考古学・人類学研究所において資料収集と当研究所所属のフランス人研究者との研究打ち合わせを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画では、前1千年紀バビロニアにおける女性の経済活動に関するデータベースを作成し、それをフランスのCNRS-UMR 7041所属の研究チームが運営するAchemenet.comでオンライン公開することを目的としていたが、コロナ禍によりこの計画は中断してしまった。一方で、データベースに基づき、女性の経済活動および人名と名付けに関して研究業績を発表することができ、とくに女性の人名に関する国際共著論文は評価され、Personal Names in Cuneiform Texts from Babylonia (c.750-100 BCE): An Introduction (C. Waerzeggers & M. M. Gross (eds.), Cambridge University Press)のほか、スペインの研究者によって編集されている古代オリエント世界のジェンダーに関する書籍にも寄稿を依頼された。したがって研究としてはおおむね順調に進展していると評価して良いと考える。
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今後の研究の推進方策 |
これまで主に市民層の女性に注目してきたが、2024年度は、従属身分(奴隷、神殿奴隷)の女性、貧しい女性に着目し、その活動について分析を行う予定である。これに関してオリエント学会等で研究発表を行う。
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