研究課題/領域番号 |
19K13366
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03030:アジア史およびアフリカ史関連
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研究機関 | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
研究代表者 |
岡田 雅志 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 人文社会科学群, 准教授 (30638656)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 移民 / ラオス / 国家 / ベトナム / 山地世界 / タイ / フランス / アメリカ / 山地民 / 越境 / 移住 / ネーション形成 / 難民 / 東南アジア / タイ族 / インドシナ / 移動 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,近世~現代の東南アジア山地民の地域間移動が,関係諸国家に与えた影響を明らかにすることを目的とする。 従来,山地民は国家に対して受動的あるいは周縁的存在と見られてきた。しかし彼らの越境移動は,関係諸国の国境管理や住民把握に大きな影響を与えており,特に近代以降,移民問題など国家の重要政策課題として立ち現われ,移動の範囲も世界規模となり影響範囲が拡大している。本研究はこの点に注目し,山地民の移動の世界史的インパクトを,史料分析を重視する歴史学的アプローチとオーラルヒストリーによる社会の内面理解を重視する人類学的アプローチを統合する手法により,近世から現代という長期的視野で考察する。
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研究成果の概要 |
本研究は、近世~現代の東南アジア山地民の移動が関係諸国家に与えた影響を明らかにするものである。歴史の主体として周縁的な位置づけを与えられてきた山地民であるが、歴史学・人類学・社会学の手法を用い、ベトナム・タイ・アメリカ・フランスなど複数地での調査を実施することにより、山地民の国を跨る移動という営為が、近世以来、移動先の国境管理や住民把握に多大な影響を与えてきたことを明らかにした。加えて、近代以降、国民意識形成の文脈で山地民の存在が重要になると、山地民の側でも国家に対してどのような立場をとるかということが移動とあわせて戦略的な課題となったため、両者の関係が相補的に展開したことを明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で明らかになった、山地民の移動という行為が近世から現代までの国家に与えた影響は、これまでの国家中心の歴史や、山地民の主体性を強調する歴史では、見えてこなかった点であり、単に視点を逆転させただけでなく、国家の形成・維持につきまとう人の移動という普遍的な問題を移動する側と管理する側の双方から捉えたものであり、新たな歴史叙述にも貢献するものである。 また、難民としてディアスポラ的に世界に拡散した山地民が、各国民国家と自分達のコミュニティとの間で調整を行いながらアイデンティティを形成してゆくという本研究が提示した山地民像は、現代の国民国家とグローバル移民の問題を理解する上でも重要である。
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