研究課題/領域番号 |
19K13372
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03030:アジア史およびアフリカ史関連
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研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
澤田 望 駒澤大学, 総合教育研究部, 准教授 (70728146)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | アフリカ / ナイジェリア / 新聞 / デジタル・ヒューマニティーズ / テキストマイニング / 計量テキスト分析 / メディア / 歴史 / 世界 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、アフリカからみた世界史を記述する際に有用な新聞史料の分析手法を探求するものである。その一端を明らかにするために、英領ナイジェリアで出版された英字新聞における外部世界報道の諸相に注目し、従来用いられてきた質的手法に加えて、計量テキスト分析による通時的な分析を試み、その可能性と留意点を検討する。英領西アフリカの出版公共圏が拡大したと指摘される1880年から1940年において、ナイジェリア新聞が描いた世界もまた広がりを見せたのであろうか。本研究によって、アフリカ出版文化史学界に新たな手法を提示するための基礎研究を行う。
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研究実績の概要 |
2023年度は、これまでの研究成果をもとに、国内における報告を1件、国際学会における発表を2件行うことができた。2023年5月に開催された日本アフリカ学会では、新聞出版史の黎明期とされる1880年から1920年代初頭のナイジェリアで発行された新聞を、コンピュータを用いてテキスト分析する際のプロセスと、新聞の経時的な変化を辿る際の手法について報告した。6月のラゴス学会では、アメリカ、ナイジェリア、カナダ在住の研究者とパネルを組み、コンピュータによるテキスト分析を用いて、ナイジェリア史における「古典」とされるMichael J.C. Echeruo著『Victorian Lagos: Aspects of Nineteenth Century Lagos Life』(1977)を分析した場合、ラゴスの新聞や社会のいかなる側面を明らかにする可能性があるのかについて示唆する報告を行った。12月の米国アフリカ学会では、アメリカ、イギリス、カナダの研究者とともに新聞史に関するパネル「Worlds on Paper: Print and Africa’s Changing Textual Horizons」を組み、ラゴス植民地で出版された新聞の掲載地域を、計量的な内容分析とテキストマイニングのソフトウェアであるKH Coderを用いて分析する報告を行った。さらに、歴史新聞を機械処理可能なデータセットに変換する上で、重要な役割を果たす光学的文字認識(OCR)について、複数のアプリケーションの精度を比較検討する論稿(Evaluating the Accuracy of Optical Character Recognition of Historical Newspapers Published in Colonial Lagos)をまとめることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度における研究の進捗状況は、これまでの遅れを取り戻す着実な前進がみられたと評価できる。第一に、国内学会および国際学会において複数の研究報告を行った。第二に、データセット作成に必須である、OCRアプリケーションの歴史史料への適用について、比較検証する論稿が公開された。また、すでに「黎明期ナイジェリア新聞における掲載地域の経時的変化」に関する論文を投稿しており、9月に発行予定である。さらに米国アフリカ学会における報告がきっかけとなり、英国バーミンガム大学歴史文化学部より、名誉上級研究員(Honorary Senior Research Fellow)に任命された。同大学の図書館データベース等へのアクセスが可能となったことで、本研究の土台となる史料や学術雑誌論文の収集が容易になった。年度の後半からは、データサイエンスの専門家より複数回に亘りコンサルティングを受ける機会があり、分析手法やデータセットの整理に関する新たな知見を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、これまでの成果報告の公開を確実に遂行する意向である。すでに国内における学会および国際的な学術会議における研究報告が決定しており、2023年度に国際学会で報告した内容をまとめた論稿が発行される予定である。新聞における掲載地域の地理情報に関する分析結果を可視化し、オンライン上でも公開する準備を行っているため、これまでの分析結果を適切に反映させていきたい。
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