研究課題/領域番号 |
19K13378
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03030:アジア史およびアフリカ史関連
|
研究機関 | 釧路公立大学 (2020-2022) 大谷大学 (2019) |
研究代表者 |
岩本 真利絵 釧路公立大学, 経済学部, 准教授 (50823225)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | 御製文集 / 明朝史 / 太祖 / 朱元璋 / 洪武帝 / 明代 / 嘉靖 / 高皇帝御製文集 / 楊起元 / 出版 / 版本 / 祖制 / 中国 / 万暦 |
研究開始時の研究の概要 |
中国明朝の創設者太祖朱元璋は三教合一思想(儒教・仏教・道教)を有していたが、明代中期以前の史料では儒教的価値観の体現者として記述される。しかし、明代後期になると陽明学の影響を受けた思想家たちが太祖を三教合一思想の集大成として尊崇するようになる。 本研究では陽明学派による太祖の文集『御製文集』出版事業について、出版の経緯、出版者たちの来歴と人脈、当時の政治状況を検討し、明代後期にどのような太祖のイメージが作られ、どのように三教合一思想と結びついていったのか、朝廷の政策とどのように連動していたのかを明らかにする。そして、明代後期の三教合一思想の隆盛と同時代の皇帝の政治姿勢の関連性を実証する。
|
研究成果の概要 |
本研究では明王朝の建国者・太祖洪武帝朱元璋の文集『御製文集』が明代後期に何度も出版された政治的背景を明らかにするため、各版本の出版の背景や関係者の政治的立場を分析した。その結果、当初想定していた陽明学派とのつながりや皇帝の宗教に対する姿勢だけにはとどまらない、出版地域の政治状況、政争における官僚個人の立場、想像上の太祖の政治に込められた独自思想の展開など明代後期の政治史・思想史の多様な側面と『御製文集』出版事業が関係することが判明した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
朱元璋の文集『御製文集』については、中国でも最近になって版本整理や出版背景の検討がにわかにさかんになった。しかし、中国の研究は日本に現存する版本を視野に入れておらず、また史料読解にもいくつもの問題を抱えたまま研究が進められている。本研究は日本・中国・台湾に所蔵される版本をすべて視野に入れて論じ、史料や先行研究を精読し直すことで、他の研究が見過ごしてきた『御製文集』編纂事業の背景を明らかにし、初代皇帝の存在が明代後期の政治にどのように作用していたのかをより正確にとらえることを目指す。そのことは皇帝政治が中国の思想の潮流にどのような影響を与えていたのかを明らかにすることにつながる。
|