研究課題/領域番号 |
19K13381
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03030:アジア史およびアフリカ史関連
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研究機関 | 立命館大学 (2021-2022) 公益財団法人東洋文庫 (2019-2020) |
研究代表者 |
小澤 一郎 立命館大学, 文学部, 准教授 (50817210)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | アフガン人 / 武器交易 / バルーチ人 / イギリス帝国 / ガージャール朝 / マクラーン / インド洋 / フロンティア / 英領インド / イラン / アフガニスタン / ペルシア湾 |
研究開始時の研究の概要 |
この研究では、西・南アジア境界域で20世紀初頭に盛行したアフガン人の武器交易を対象とし、以下の3つの課題に取り組む。1)ペルシア湾からユーラシア大陸内陸部まで広がるアフガン人の交易網について、海陸両域の交易網を結びつける観点からその全容を明らかにする。2)イラン・インド・アフガニスタンという三国家の狭間で海上・陸上交易の結節点となったペルシア湾北岸マクラーンの「フロンティア」性に注目しつつ、アフガン人による交易活動の具体相を解明する。3)英領インドをはじめとする周辺諸国家による交易禁圧の過程を追うことで、近代国家の成立とフロンティアの周縁化・消滅、超地域的交易網の変容の過程を跡付ける。
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研究成果の概要 |
本研究では、19世紀末から20世紀初めにかけてのユーラシア大陸西南部とそこに接続する海域を舞台として武器交易を展開したアフガン人の活動を検討対象とし、①アフガン人が遊牧生活を基礎とする移動交易民としての性格を色濃く残しつつ交易活動を展開していたこと、②アフガン人の活動がユーラシア大陸西南部の多様な集団のネットワークとの交錯の上に成り立っており、特にバルーチ人との協力関係が彼らの海洋への進出を可能にしたこと、③イギリスがアフガン人と他の集団とのコネクションを切断する形で交易規制を行ったために彼らの活動の周縁をもたらし、そのことが当該地域の周縁化を招いた可能性があることを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は陸海に渡るアフガン人の交易活動の実態を明らかにすることで、従来必ずしも統一的な視点の下で理解されてこなかったユーラシア大陸の陸上交易とインド洋海域の海上交易を接続する効果を持つ。また、ユーラシア大陸西南部において多様な集団が自身のネットワークが互いに接続させながら交易活動を展開していたことからは、これまでの研究であまり注目されてこなかったフロンティアとしてのユーラシア大陸西南部の歴史的重要性が明らかになる。さらに、イギリスの交易規制によるアフガン人の活動の終結は、近代の到来によってこの地域が周縁化し、現在のように周辺国家にとっての「辺境」と化していく過程を示しているといえる。
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