研究課題/領域番号 |
19K13388
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
藤澤 潤 神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (90801100)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 冷戦史 / ソ連史 / コメコン / 西洋史 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、ゴルバチョフによるコメコン改革の試みとそれに対する東欧諸国の反応を分析することで、1980年代後半のコメコン改革が社会主義圏の解体ならびに冷戦の終焉過程に与えた影響を実証的に解明することにある。これまで研究者の関心は、ソ連・東欧の二国間関係やソ連一国と発展途上国との関係の解明に集中してきた。そのため、従来の研究では、ゴルバチョフの対外経済政策およびソ連・東欧経済関係におけるコメコンの重要性が見落とされていた。そこで、本研究では、ゴルバチョフのコメコン改革の試みとそれに対する東欧諸国の反応を実証的に解明することで、ソ連・東欧圏の解体に至るプロセスを新しい視点から検討する。
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研究成果の概要 |
本研究では、社会主義圏の国際経済組織であったコメコンがどのようにして最終的に「終わり」を迎えたのかという観点から、1991年のコメコン解散にいたる過程を、ロシア・東ドイツの文書史料をもとに分析した。その結果、従来考えられていたのとは異なり、1989年の「ベルリンの壁」崩壊後もコメコンの改革もしくは後継組織の設立をめぐってソ連・東欧・非欧州加盟国の間で交渉が続いており、一度は全加盟国が後継組織の樹立を内諾したものの、1991年初頭の国際情勢ならびに各国内の情勢の急変を受けて、その合意が撤回されたことを解明した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の成果は、国際組織はどのようにして「終わる」のかという国際関係論の議論に有益な一例を提供できる。解散された国際組織は機能不全で非効率であったため、「終わり」は自明であったと考えられがちであるが、本研究が明らかにしたように、コメコンのように非効率な組織であっても、40年にわたって維持されるなかで、各国の対外経済関係を大きく規定してきた。そのため、いざ終わらせるときに、後継組織の有無や別組織への吸収等をめぐって活発な議論が繰り広げられ、現に行われたような形での解散は必ずしも唯一の選択肢でもなければ自明でもなかった。こうしたアプローチは、他の消滅した国際組織の研究においても有益であろう。
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