研究課題/領域番号 |
19K13391
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 南山大学 (2021-2022) 中央大学 (2020) 早稲田大学 (2019) |
研究代表者 |
齋藤 敬之 南山大学, 外国語学部, 講師 (20822977)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 近世ドイツ / ザクセン / 犯罪史 / 暴力 / 決闘 / 名誉 / ライプツィヒ / 西洋史 / 近世史 / 歴史犯罪研究 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、16-18世紀のドイツ都市社会、とくにザクセン選帝侯領の大学都市ライプツィヒを例に、当時の暴力と名誉の関係及びその変化をたどることを目的としている。 本研究では、当時の法規範だけでなく暴力事件を扱う裁判の記録をも分析し、暴力の経過において中傷や挑発といった名誉に関わる行為とどの程度関連していたのか、どのように加害者が暴力行使を正当化していたのかを明らかにする。さらに、名誉と結びついた暴力の特殊形態としての決闘、とくに学生による決闘に注目する。そして、その概念や形態、領邦政府や大学当局による禁止の論理、当事者と目撃者の認識の相違などを多角的に検討する。
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研究実績の概要 |
本研究は、16-18世紀のドイツ・ザクセン選帝侯領の大学都市ライプツィヒを例に、当時の法規範のみならず暴力事件を扱う裁判の記録をも分析することで暴力の形態や経過における名誉の意義を明らかにすること、さらに名誉と結びついた暴力の特殊形態としての決闘の性質や公権力による禁止の論理、当事者と目撃者の認識の相違などを多角的に検討することを目指したものである。 前年度と同様に2022年度も、ドイツの文書館(ザクセン州立中央文書館ドレスデン館とライプツィヒ市立文書館)を訪問する形での史料状況の調査や収集を行うことはできなかった。それでも、前年度に引き続いて両文書館とコンタクトを取り、整理番号などを予め把握できていた所蔵史料数点(いずれも17世紀後半から18世紀初頭の決闘に関する裁判記録など)をデジタル化された形で入手することができ、その際の手数料や複写費は本研究費より支出した。 本研究における重要な課題である決闘の性質の検討に関しては、2020年に発表した17世紀後半のザクセン選帝侯領における決闘禁止令の翻訳を踏まえつつ、上記の形で入手していた決闘に関する裁判記録の分析を進めた。ライプツィヒの事例については分析が進んでいないものの、同じくザクセン選帝侯領内の都市フライベルクで1673年に発生した決闘に対する裁判記録を用いて、決闘禁止令と裁判での扱われ方を対比的に検討した。その成果となる論考は2022年6月発行の学内紀要に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は、所属先の業務に伴う研究環境の変化により、前年度に引き続いてドイツの文書館(ザクセン州立中央文書館ドレスデン館とライプツィヒ市立文書館)を訪問する形での史料調査や収集が実現しなかった。決闘に関しては、年度後半に両文書館に所蔵されている関連史料のいくつかをデジタル化された形で入手することができたものの、その分析は途上にあり、成果を発表するには至っていない。また、現地での史料調査ができていないことで、決闘以外の暴力事件に関する史料の発見や収集までには至っていないため、決闘を中近世社会の暴力という文脈に位置づけるような成果を提示できる状況ではないと言わざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
17世紀後半から18世紀前半にかけてのザクセン選帝侯領やライプツィヒにおける決闘に関する史料のいくつかをデジタル化された形で入手することができ、ライプツィヒを事例として都市の文脈で決闘を分析する見通しを得られている。史料の分析を進める時間を十分に確保し、その成果をできるだけ早く発表することを目指す。
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