研究課題/領域番号 |
19K13395
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
岸本 廣大 同志社大学, 文学部, 准教授 (20823305)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 古代ギリシア史 / ヘレニズム / ローマ / 外交 / 連邦 / 演説 / 使節 / 古代ギリシア / リュキア / 碑文 / 書簡 / 感情 / メディア / ギリシア / メガラ / ポリュビオス / ギリシア史 / ネットワーク |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、主にメガラというポリスを対象に、共同体の外交関係の断絶について研究する。具体的には、メガラの外交関係において実際に断絶を経験した事例と、その断絶についてメガラや他の共同体の人々がどのように論じ、正当化を図っていたのかを分析する。 そこで示された断絶にかかわる外交文化を、ペロポンネソス戦争期とヘレニズム時代でそれぞれで検討し、両者を比較することで、古代ギリシア世界の独自の外交文化や、その変遷を明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究では、ヘレニズム時代からローマの支配下の時期に至るまでの、ギリシア本土の諸ポリスの外交を論じた。具体的には、友好関係の構築や維持、非難の応酬や、対立した関係の修復といった事例を分析した。 その結果、以下の点を明らかにした。(1)ギリシア人共通の過去や、それに基づいて「創られた」ポリス間の関係が外交使節の演説において重要なレトリックとして機能した。(2)こうした使節のやりとりを通じて、そういった「過去」や「関係」が再生産され、ときには変容していった。(3)この「過去」や「関係」は、ローマの支配下に入ってもなお、その体制に適応する形で継続し、それに基づいて、いわば名目的な「外交」が継続した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、従来ほとんど等閑視されてきたヘレニズム時代の使節演説を、文献資料のみならず、碑文資料も用いて総合的に議論した点に学術的意義がある。その結論は、ギリシア世界全体で共有された過去が、外交的な行動規範に影響を与えたこと、そして過去が使節の演説を通じて再確認または再解釈される余地があったことを示した点で、独自性がある。また、外交文化がローマ支配下で名目的にでも継続したことは、ヘレニズム時代とローマ時代を総合的に論じる示唆を提示した点で意義があると考える。
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