研究課題/領域番号 |
19K13398
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
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研究機関 | 独立行政法人国立科学博物館 (2021-2023) 山形大学 (2019-2020) |
研究代表者 |
瀧上 舞 独立行政法人国立科学博物館, 人類研究部, 研究員 (50720942)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 古代アンデス / リャマ / 形成期 / パコパンパ / クントゥル・ワシ / 同位体分析 / パコパンパ遺跡 / クントゥル・ワシ遺跡 / ラクダ科動物 / トウモロコシ / 食性推定 / 出身地推定 / アンデス / 同位体 / ナスカ / 食性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではペルー北部高地の形成期(3000-50 BC)におけるラクダ科動物飼育の伝播と飼育実態を調査する。調査方法はラクダ科動物とシカ、クイの骨と歯を用いたマルチ同位体分析による食性推定と出身地推定である。本研究ではクントゥル・ワシ遺跡、インガタンボ遺跡を含むペルー北部高地の複数の神殿遺跡から出土した動物資料の分析を行い、すでに調査が進んでいるパコパンパ遺跡のデータと比較を行う。本調査によりペルー北部高地へのラクダ科動物飼育の導入時期、飼育形態、伝播ルートを明らかにすることで、神殿遺跡におけるラクダ科動物需要の変遷を推測し、形成期社会の発展とラクダ科動物利用との関連性を追求する。
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研究成果の概要 |
本研究ではアンデス形成期においてリャマ飼育の伝播とその社会的影響について調査を行った。パコパンパ遺跡のヒトの食性では、トウモロコシで飼育したリャマの肉の摂取がヒトの食性に位置付けられたことを明らかにした。またクントゥル・ワシ遺跡では形成期後期にC4植物で飼育されたリャマが出現することを明らかにした。ただし、パコパンパ遺跡において見られた形成期中期の高地高原飼育のリャマはクントゥル・ワシ遺跡には存在しないことも明らかとなった。これにより飼育されたリャマ導入の経緯がパコパンパ遺跡とクントゥル・ワシ遺跡では異なっていた可能性が示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の結果から、ペルー中部高地のフニン高原で家畜化されたラクダ科動物が北に伝播する過程で、初期には4000m台の天然の牧草地に飼育地が広がり、形成期後期以降に2000m台の神殿がある暖地に飼育が広がった可能性が指摘された。当初、神殿を利用していたのはトウモロコシ農民であったが、形成期中期に近くの高地高原に移住したリャマ牧民との交流が広がり、形成期後期に暖地での新たな農牧複合生業「リャマ=トウモロコシ複合」が生まれ、神殿での共同の儀礼活動につながったと推測される。農民集団と牧民集団の融合に伴う社会変化という視点は新しく、次のプロジェクトへと発展した。
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