研究課題/領域番号 |
19K13403
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
|
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
荒 友里子 愛媛大学, アジア古代産業考古学研究センター, 研究員 (90783853)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | ロシア / カザフスタン / 中央ユーラシア草原地帯 / 古代銅生産 / 冶金考古学 / 生産と流通 / 青銅器 / 青銅器時代 / 中央ユーラシア / アンドロノヴォ / 中央アジア |
研究開始時の研究の概要 |
中央ユーラシアの草原地帯(ロシア中部・カザフスタン・キルギス)では、前二千年紀初頭から中頃にかけて青銅器が増大した。この青銅器の生産体制と流通の様相を明らかにすることで、当該地域・時代の社会経済の特質や地域間の影響関係について、より具体的な説明ができる。 この研究目的を達成するため、本研究では紀元前二千年紀の中央ユーラシアにおける青銅器生産の中心地であったと想定されるカザフスタン中部・東部を基軸とし、青銅器とその生産に関わる遺跡・遺物の調査を実施する。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、カザフスタンやロシアとその周辺地域における紀元前2千年紀初頭から中頃にかけての、青銅器とその金属材料(特に銅)の生産と流通の様相を明らかにすることによって、当該期の中央ユーラシア草原地帯における社会経済の特質や地域間の影響をより具体的な次元で説明することである。そのために、①青銅器、②銅製錬遺跡や鋳造遺跡など各種冶金関連遺跡で確認された冶金関連遺構、③各種冶金関連遺跡から出土した冶金関連遺物 について、考古学的・理化学的手法を用いた総合的な研究を実施している。 2022年度は、7月にカザフスタン東部の鉱山に立地する青銅器時代の銅生産関連遺跡であるコクタス遺跡の発掘調査に参画し、冶金関連遺物の調査・研究を担当することとなった。コクタス遺跡からは銅粒の噛み込みが確認できるスラグが多量に検出されており、鉱石、銅系金属塊、炉壁も確認されている。カザフスタン側からの許可を得てこれらを日本に持ち帰り、資料化したのち理化学的分析を依頼した。現在その分析結果について検討している。 青銅器の研究については、セイマ-トゥルビノ青銅器(以下、ST青銅器)と呼ばれる、紀元前2千年紀の中央ユーラシア草原地帯を代表する青銅器の製作址について情報収集を行った。ST青銅器はシベリアからヨーロッパまで広く分布するが、どこで、誰が作ったのかは未だによくわかっていない。近年、イルティシュ川流域においてクロトヴォ文化に属する工房址がいくつか確認されていること、そこでST青銅器の鋳型も発見されたことを把握した。こうした情報は、ST青銅器ならびに中央ユーラシア草原地帯の青銅器の生産と流通を考える上で極めて重要である。10月にはこの件について国際シンポジウムで発表をした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
COVID-19の影響により2020年、2021年と現地での調査を行えていなかったが、本年度ようやく実施することができた。当初、博物館や大学などでの冶金関連遺物の資料調査を予定していたがカザフスタン・コクタス遺跡の発掘に参画し、冶金関連遺物の調査・研究を担当させてもらうこととなった。一次資料の研究発表をする権限までも与えられたことは想定外のことであり、本研究が計画以上に進展したと言える。カザフスタンの現地研究者との連携も深まり、今後も連絡を密に取り、各種発表を共同で行っていく。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度は、 1)コクタス遺跡出土冶金関連遺物の分析結果の検討 2)関連諸地域の冶金関連遺跡・冶金関連遺物のまとめ 3)特定器種青銅器の分布の再検討 を中心に研究発表をし、「紀元前2千年紀の中央ユーラシア草原地帯における社会経済の特質や地域間の影響を具体的に説明する」という本研究の目的の達成に向けて研究を進めていく。
|