研究課題/領域番号 |
19K13407
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
竹野内 恵太 東海大学, 文学部, 特別研究員 (30778684)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | エジプト / 初期王朝時代 / 石製容器 / 生産供給システム / 未成品 / 行政センター / エジプト初期王朝時代 / 生産供給 / 石材供給 / 供給体制 / 生産体制 / 石材 / 製品 / 初期国家社会 / 石材供給システム |
研究開始時の研究の概要 |
エジプトの初期王朝時代では、国家的事業として石材資源が獲得・供給されていたことが想定されている。これまでは、石材資源に係る官僚の役職が出現し、且つ石材産地の岩肌に王名が刻まれ始めたことなど、主に碑文資料から石材資源の獲得やその遠征について論じられることが多かった。 一方で本研究では、当時大量生産された石製容器を対象資料として、その規格性や製作技法、石材産地に残された未成品の様相を考古学的に分析することで、石材供給システムの実態を解明することが目的である。そして、初期国家が成立していく社会状況において、石材資源の供給が当時の地域間関係の下でどのように組織化されていたのかを考える。
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研究成果の概要 |
本研究は、初期国家社会および統一王朝が開始した初期王朝時代の石製容器を対象として、その生産供給システムを再構築し、地域間の政治的・経済的権力関係の文脈に位置づけることを目的とした。その結果は次の通りである。各採石地を横断して概ね同規格で未成品へ加工され、大部分の未成品は首都圏域へ供給、その他少数の小型規格の未成品はデルタ地域や王宮が置かれた地方都市へも供給されていた。首都圏域で加工された製品は地域社会の政治的・経済的な階層性に応じて流通していた。また、首都圏域から各地域社会という製品の動きだけでなく、地方都市から近郊の小規模共同体へも製品が流れていた可能性が高い。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は当時の中央政府下で専業生産されていた奢侈品の生産供給システムを詳らかにするうえで学術的意義がある。例えば、農耕生産や畜産、それらの二次的加工品の生産・流通については、文字・記号資料および後代の王朝時代の比較などからある程度復元されてきた。しかしながら、石製容器のような奢侈品や貴重品の類いの製品生産・流通の様相に関しては、文字資料にはあまり残らない。それゆえ、考古学的に石製容器の生産供給を再構築することは、初期国家的な政治行政の体制においてそのような生産供給システムがどのように組み込まれ、発達した階層的な地域構造を維持していたのかを明らかにする点で重要である。
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