研究課題/領域番号 |
19K13410
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
市川 慎太郎 福岡大学, 理学部, 助教 (90593195)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 土器 / 阿玉台式土器 / 固溶体鉱物 / 起源推定 / 混和材 / X線回折分析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、意図的な混和が考えられている阿玉台式土器に関して、「胎土原料である粘土」と「混和物」それぞれの地域性を“個別に”明らかにできる分析法の開発を目的とする。含有鉱物を種類ごとに同定することができる「X線回折分析」を用いて、粘土もしくは混和物に由来する鉱物を個別に解析することで、各々の地質起源の判別が可能であることを明らかにし、土器中の鉱物の分析から解析、起源推定までの一貫した土器の胎土分析の基盤を確立する。
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研究成果の概要 |
原料の粘土と混和物とを分離した高精度な起源推定法の確立を目指して、桧の木遺跡から出土した阿玉台式土器をX線回折法で測定して同遺跡で出土した同時期の土器と比較したところ、この阿玉台式土器の混和材には黒雲母が含まれていた。黒雲母のような固溶体鉱物は、産地に応じて固溶比が変化し、それが格子面間隔に反映されることが期待できる。この産地依存性を検証するために、14種類の黒雲母含有岩石をX線回折分析した。岩石中の黒雲母001 面の格子面間隔は5グループに分類され、有意差がないものもあった。黒雲母の固溶比を算出して、産地との関係を解明すれば、格子面間隔を阿玉台式土器の混和材の起源推定に応用できるだろう。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、X 線回折分析による含有鉱物に基づき、粘土と混和物の地域性を別々に明らかできる新たな胎土分析法の確立を目指した。まず、桧の木遺跡から出土した阿玉台式土器の混和物が黒雲母を含むことを明らかにした。さらに、産地の異なる黒雲母含有岩石14種類中の黒雲母001面の格子面間隔を比較し、有意差のある5つのグループに分類した。すなわち、これらの岩石中から黒雲母を取り出して固溶組成を明らかにしなければ断言することはできないが、一部の黒雲母の格子面間隔には産地依存性が見られた。したがって、本研究では、土器の粘土や混和物に由来する鉱物を用いて、各々の起源を推定できる可能性を示唆することができた。
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