研究課題/領域番号 |
19K13412
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
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研究機関 | 公益財団法人元興寺文化財研究所 |
研究代表者 |
坂本 俊 公益財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (40808903)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 考古学 / 技術史 / 歴史学 / 文化財石垣 / 石工 / 城郭石垣 / 石工技術 / 石切場 |
研究開始時の研究の概要 |
大規模災害の被害を受けたことで、城郭石垣に整備における伝統技術のあり方が問われている。しかし、城郭石垣の構築に用いられた石工技術とは何か、という問いに対して数々の発掘調査や解体修理が行われているにもかかわらず十分な検討がなされていない。この現状を踏まえ、本研究では石工技術の実態解明と多方面での分析を可能とする指標の確立とデータベースを構築することで「石工技術の可視化」を目指す。本研究は、文化財としての城郭石垣を継承するための伝統技術としての石工技術を具体的に明らかにする基礎的研究と位置付ける。
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研究実績の概要 |
本研究では「石垣構築技術」と「採石・加工技術」の二種の技術を包括的かつ体系的に捉えて「石工技術」と定義した。そして、「石工技術の可視化」を最終的な目標に位置付けている。 令和4年度は、新型コロナウイルスに対する行動制限が大幅に緩和したため、約2年停滞していた現地調査を積極的に実施した。現地調査は、石垣各面の石積みの特徴、石材構成、矢穴型式、基礎地形、背面造成、改修の有無や時期などの要素の特徴を抽出し、石垣構築技術の実態把握を意図して行うものである。調査は中国地方、東北地方、関東・甲信越地方、九州地方において51か所の石垣遺構が残存する城郭遺跡で行い、また北陸地方では戦国期の城郭石垣と比較をするため白山平泉寺(福井県勝山市)などの踏査も敢行した。その結果、城郭石垣を理解するための様々な視点・要素の一つとして間詰石の重要性を再認識した。そして、近世城郭や織豊系城郭の石垣が成立するまでに複雑な技術交流が行われた可能性があることが分かってきた。 現地調査においては、写真以外の記録の方法としてiPhone13proに搭載されるLiDERセンサーを用いて三次元的に記録する方法を一部の石垣で採用した。これにより、近世城郭で主に採用される「輪取り」と呼ばれる石垣の安定的な構造を支える技法が織豊期の石垣にも用いられていることが判明した。この事実は、技術系譜の解明だけでなく、石垣の整備方法を選択する際にも重要であり、より簡易で正確に技術的特徴を捉える方法として重視している。今後、さらにデータを蓄積していく必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍により、当初予定していた現地調査が約2年停滞した。令和4年度には予定していた現地調査を行うことができたが、調査で得られた成果が多岐にわたるため整理作業が追い付いておらず、報告書の刊行まで至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
これまで行ってきた現地調査の成果を整理し、都道府県ごとに修正した石垣を有する城郭の一覧等を含めた研究成果を報告書として刊行する。
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