研究課題/領域番号 |
19K13424
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03060:文化財科学関連
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研究機関 | 東北芸術工科大学 |
研究代表者 |
元 喜載 東北芸術工科大学, 文化財保存修復研究センター, 講師 (90796202)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 文化財 / 酸性化 / 和紙 / 図書資料 / 保存科学 / 保存修復 / 紙の酸性防止 / 図書館 / 酸性紙 / 紙の酸化防止 / 酸性化防止 / 資料保存活用 / 洋紙 |
研究開始時の研究の概要 |
世界において博物館や図書館等では深刻な洋紙の酸性化問題を抱えており、各機関の予算や人手不足などにより紙資料の活用ができず放置されているケースも多々ある。その解決方法を探るために本研究では、手漉き和紙である弱アルカリ性質の「美栖紙」と「宇陀紙」に着目した。従来の研究では実施されなかった両紙の物性を測定の上、加速劣化実験を通し、洋紙の酸性化防止方法を探る。現在、洋紙の酸性化を防ぐために各機関で行われている処置は、高額な費用や高度な技術を要することが多いため、本研究で行う測定及び実験により、予算や人手が不足している地方自治体等の小さい機関でも貴重な資料が保存・活用できるようにすることを目的とする。
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研究成果の概要 |
世界の博物館や図書館では、木材パルプを使った紙の酸性化問題が深刻で、その原因と対策を探るための研究が必要とされている。日本のみならずヨーロッパ各地も同様な問題を抱えており、特に特定な年代の資料群の劣化が深刻な問題とされている。日本でも同様に近現代の紙資料に対して酸性化が進んでおり、その対策として美栖紙、宇陀紙の活用が有効だと考えられる。美栖紙、宇陀紙は両方ともアルカリ性質の填料を紙料に入れ紙漉きを行い、紙そのものがアルカリ性質を帯びるためである。今後は美栖紙や宇陀紙の効果についての研究が期待される。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近現代の紙資料の酸性化問題は日本のみならず世界の博物館、図書館の問題でもある。特に特定の年代に作られた紙資料の酸性化が著しく、取り扱いができないほど状態が悪化している。しかし、紙料の量が膨大でかつ所蔵機関の予算や人材不足により重要な紙料が放置されていることが多々ある。実際、各国の国立機関以外のほとんどの機関は上記のような原因により多くの紙資料が活用できない状態であるため、酸性化防止、かつ酸性化を抑制する方法について調査が必要だと考えられた。その中、美栖紙、宇陀紙はアルカリ性質を帯びることに注目した。これらの紙は酸性化の抑制に効果を持ち、多くの紙資料の酸性化問題解決に可能性を示すと考えられる。
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