研究課題/領域番号 |
19K13431
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03070:博物館学関連
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研究機関 | 滋賀県立琵琶湖博物館 |
研究代表者 |
中村 久美子 滋賀県立琵琶湖博物館, 研究部, 主任学芸員 (80626135)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 幼児 / 博物館 / 自然体験 / 野外活動 / テキストマイニング / 博物館活動 / 野外 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、博物館で行う野外体験活動と体験型の展示室における展示室体験の2つの活動が、どのような学びをもたらすかを定量的に評価する方法を確立することである。本研究では定量的な評価を行うために、幼児向けの月1回の活動「ちこあそ」参加者にボイスレコーダーを装着して発話を記録する。発話をテキスト化し、テキストマイニングにより分析する。また展示室での体験も同様に発話から分析する。野外体験と展示室体験の比較を行うとともに、体験学習の前後の発話の違いを定量的に評価する。こうした調査方法を確立し、プログラムや展示を評価することで、今後の幼児から子ども向けプログラムの開発及び改良に貢献する。
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研究実績の概要 |
発話の録音データを投稿論文にまとめる作業を進めている。展示室体験では、野外の自然体験に比べて発話が多い傾向があった。特に「疑問」に関する発話が多くを占めていた。一方、自然体験では、展示室体験の時よりも、「振り返り」「協同」「自立」に関する発言の割合が増えることが明らかになった。そこで、博物館での自然体験を自宅でも振り返り、より学びを深めるためのツールとして、活動内容をまとめた絵本を製作している。令和5年度には印刷し参加者へ配布予定である。 さらに、発話内容を名詞のカテゴリで分類すると、展示室では5%ほどにしか満たない植物や動物以外の自然に対する発言が、自然体験では24%と10%に増加した。展示において、幼児に対して動物以外の自然や植物に関心を持たせることは難しく、今後課題である。野外の自然体験においては、植物は大変身近な素材であり、落ち葉や木の実などほとんどの子どもが手に取り触感やにおいを体験することができる。そいういった意味では、展示室では関心を持ちにくい植物については、野外におけるプログラムを組み合わせることで、幼児にも身近に感じて学び取る機会を提供することが可能である。 2017年から実施した参加者に対するアンケートでは、活動への参加前後において、普段遊ぶ場所や話す内容に変化があったという回答があり、自然へのイメージは、「難しい」「閉鎖的な」というイメージから「手軽な」「社会的な」というものへ変化した。これは、幼児向けの本活動が、保護者にとって、自身ではなかなか難しいと感じる自然体験を博物館で気軽に体験できる場として、機能しうると考えられる。 最終年度に向けて、絵本の効果および、本活動における幼児の博物館体験の学びの効果について、とりまとめを行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナの影響も落ち着いてきたため、活動も元の形に戻りつつある。発話データはとり終え、まとめの作業に入っている。成果物の一つとして、活動を絵本にまとめた冊子も印刷に向けて準備がほぼ終了している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、振り返りを補助するツールとして活動内容をまとめた絵本を配布する。また、その絵本の活用と効果についてのアンケートも実施する予定である。 学会発表および投稿論文についても実施予定である。
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