研究課題/領域番号 |
19K13433
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分04010:地理学関連
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
榊原 厚一 信州大学, 学術研究院理学系, 助教 (40821799)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
|
キーワード | 高山帯 / 雪氷融解 / 水涵養 / 水流出 / トレーサー / 土地被覆 / 雪渓後退 / 端成分 / 水資源涵養 / 水貯留 / 植生 / 高山域 / 流出 / 雪氷 / 水の安定同位体比 / 水の滞留時間 / 安定同位体比 |
研究開始時の研究の概要 |
中~高緯度の高山地域では,水資源涵養に対して雪氷融解水の果たす役割が重要である.しかしながら,高山地域における雪氷融解水がどのように水資源涵養に寄与しているかを定量的に解明した研究はほとんどない.そこで本研究は,乗鞍岳山頂流域を対象とし,雪渓後退速度の直接的計測,トレーサー法による湧水滞留時間の推定と湧水に対する融雪水の寄与率算出を高時間精度で行うことで雪氷融解に伴う水資源涵養機構を明らかにする.国内最大級の積雪量を有する当該地域における研究成果は,持続的水資源利用の政策決定に幅広く寄与できるだけでなく,下流地域における洪水発生予測・被害低減という防災の面にも波及効果をもたらすと期待される.
|
研究成果の概要 |
本研究は,高山帯源流域の雪氷融解に伴う水涵養・流出機構を明らかにすることを目的とし,森林限界を超える高山地域を対象に水文観測,水試料の採取,それらのトレーサー分析を実施した.高山帯における水流出・水涵養を支配する要因は,短期間の積算降水量と雪氷融解水の供給であることが示唆された.トレーサーを用いた成分分離法の適用により,夏季の雪氷後退に伴い,流出水を構成する成分が雪氷・降水成分から,地下水・土壌水成分に変化することが明らかとなった.さらに,植生部と裸地部の流出水の明確に異なる水質・同位体比から,土地被覆条件により水貯留機能が決定される可能性を示した.
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
気候変動の影響を受けやすい高山帯は極めて多い降水量を有し,下流域に豊富な水資源を供給する.本研究は,これまで,実測による研究例が少なかった高山帯水文学研究に現地観測を主手法として取り組んだ.水涵養・流出過程の定性的・定量的解析を実施することで,雪氷融解・短期積算降水量・土地被覆が高山帯水循環を主に制御することを示唆した.本研究成果は,水資源賦存量の将来予測技術の向上や近年頻発する土砂災害・洪水の予測・警報システム開発という防災の面に貢献でき,学術的のみならず社会的に意義があると考えられる.
|