研究課題/領域番号 |
19K13435
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分04010:地理学関連
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
米島 万有子 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 准教授 (20733281)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 蚊 / 接触機会 / リスク評価 / 地理学 / 初見日 / Twitter / 位置情報 / SNS / 時空間 / 蚊媒介性感染症 / 吸血被害 / 時空間解析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ネット空間に自発的に発信・蓄積されるSNSの情報やインターネットベースの社会調査といった新しい地理情報を利用して、これまで看過ごされてきた疾病の感染機会となる媒介蚊の吸血被害の実態を解明し、蚊媒介性感染症の流行リスク評価を行う。また蚊が媒介する感染症の非流行地を対象とした既存の気候や人口データに基づく流行リスク評価の研究手法の限界を克服する。本研究が活用する吸血被害情報の抽出やそれを活用した吸血被害急増アラートを表示する仕組みの構築は、新しい地理情報の利用可能性の提示と、地理情報科学や生物地理的な解析への応用にとどまらず、蚊の防除時期の提案や、吸血被害の推定の社会実装の可能性がある。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、蚊が媒介する感染症の非流行地である日本を対象とした流行リスクの評価を行うことである。本年度は特に、人と蚊との接触機会について着目して研究を進めた。蚊媒介性感染症の発生や流行を考える上で重要となる人と蚊との接触機会の情報は、ごく限られた範囲で実施された質問紙調査による実態把握の報告はあるものの、情報が乏しい状況にある。そこで、インターネットベースの社会調査を用いて日本全域を対象に、日常生活における人と蚊との接触機会を把握した。そのデータを用いて、人と蚊との接触機会の季節消長について解析を行った。その結果、以下のような地理的な特徴を把握することができた。 ①蚊の吸血被害を受ける期間は、東日本に比べて西日本の方が長く、沖縄県では冬期においても蚊の吸血被害を受けていることが確認された。ヒトスジシマカの活動開始予測日以前にも蚊の吸血被害を受けていることが確認され、蚊の活動期間は既存の知見よりも長い可能性が示された。②蚊の吸血被害は、全国的に8月上旬から下旬にピークに達し、10月上旬から11月下旬にかけて北から順に蚊の吸血活動が収束する傾向がみられた。③ヒトスジシマカの生息には適していないと推定されている地域においてもヒトスジシマカの吸血被害を受けていることが確認できた。さらに、客観的な居住環境を評価した指標から蚊との接触機会の要因分析の検討を進め、その結果を学会発表や論文として公表していく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
インターネットベースでの調査の実施および季節消長に着目した解析については順調に行うことができたと考えている。しかし、客観的な環境指標の人と蚊との接触機会の解析やSNSと組み合わせた分析については時間を要しているため、やや遅れていると評価した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、各分野の研究者と積極的に意見交換を続けつつ、SNSデータをもとにした人と蚊との接触機会の空間解析の結果を学術論文等で公表することを目指す。また客観的な居住環境の指標の検討と解析も同時に進め、結果を学会等で発表していく予定である。
|