研究課題/領域番号 |
19K13442
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分04020:人文地理学関連
|
研究機関 | 立正大学 (2022) 金沢大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
吉田 国光 立正大学, 地球環境科学部, 准教授 (70599703)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 社会ネットワーク / 農山漁村 / 地産地消 / 小規模農業 / 保全 / ローカル / 地域らしさ / 家族農業 / 小規模 / 冗長性 / 食料安全保障 / 小規模産地 / 小農 / 家族経営 |
研究開始時の研究の概要 |
安全な食料が全ての人間に安定的に行き渡る社会を実現させるための研究である。市場経済が高度に進展した現代日本の食料供給は「安く・早く・大量」という要請に応じて,少数の大規模な産地の農業生産に依存する傾向にある。しかし,そうした大規模産地が被災するなどした場合には,ただちに食料の安定供給が機能不全に陥っている。そうしたなか,安定的かつ持続的な食料供給を達成するために,生産効率性から劣位におかれ時に淘汰されてきた小規模家族農業やそれらが多数を占める小規模産地の存続による食料供給体系の冗長化を可能とする仕組みを解明しようとしている。
|
研究実績の概要 |
2022年度は(1)小規模産地における農産物の消費形態に関する研究,(2)農業をめぐる諸主体間の社会ネットワークに関する方法論の検討に取り組んだ。(3)文化的価値を付与される生業活動の保全・保護をめぐる方法論の検討に取り組んだ。 (1)については,埼玉県行田市の「行田はちまんマルシェ」を事例に,農産物の地産地消の状況を検討した。具体的には,農業者を中心とした出店者への聞き取り調査から,マルシェへ農作物や飲食物,工芸品などを出品する出店者が,各人の生産活動もしくは日常生活のなかで,マルシェでの直売という行為をどのように位置づけながら利用し,出店者にとっていかなる経験を生み出しているのかを分析した。分析結果から得られた成果を,日本地理学会で口頭発表し,英語論文としてまとめたものは学術誌『季刊地理学』(査読有)へ掲載された。 (2)については,内外の既存研究のレビューをもとに方法論に関する展望論文を執筆した。論文をJournal of Asian Rural Studiesへ投稿していたものが掲載された。 (3)については,ローカルな地域で維持される有形・無形のモノ・コト,もしくは地域そのものと,維持に向けた様々な制度をめぐる地理学的な研究を進めるためのいくつかの方向性を検討し,2022年度立正地理学会研究発表大会で口頭発表し,論文としてまとめたものを学術誌『地域研究』(査読有)へ投稿している。 またその他の成果として,奧能登地域における農産物の地産地消の様子を,飲食店への聞き取り調査から地場農産物,海産物の利用状況から分析したものを。国際誌「Research in Globalization」(Elsevier)へ投稿し,修正,再投稿している段階で,2023年度中の掲載を目指している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内を対象とした部分においては,当初の計画以上に進められている。トカラ列島に関する事例研究については学術論文として執筆を準備している段階である。金沢市の情勢を鑑みて奥能登地域で調査を実施し,英語論文として投稿した。このほかにも当初の計画には含めていなかったものの,海外研究の代替として国内を事例とした研究(行田市の事例),2つの方法論的検討に関する研究に取り組み,社会的情勢の変動にあわせて柔軟に対応できた。 他方,海外事例については,2020年2月末から3月にかけて現地調査を実施する予定であったが,新型コロナウイルスの蔓延により大幅に遅れている。国内研究の計画以上の進展と差し引きで,おおむね順調に進展しているといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
2022年度に最終年度であったが,英語論文の査読結果が遅れた結果,再投稿作業が遅れ,2022年度内で完了しなかった。また,パンデミックにより延期していた海外研究について,訪問予定国の状況をふまえて実施の可能性がうまれつつあるが,本研究の遂行にはフィールドとの信頼関係が第一である。我々の研究の名の下にフィールドに住まう方々の日常生活や安全を脅かすことはあってはならないので,情勢を見極めながら臨機応変に対応する。遠方でのフィールドワークを実施できない場合には,これまで進めてきたものの未公刊のもの公表できるように進めていく。
|