研究課題/領域番号 |
19K13452
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分04020:人文地理学関連
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研究機関 | 京都経済短期大学 |
研究代表者 |
菅野 拓 京都経済短期大学, 経営情報学科, 講師 (10736193)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2019年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | サードセクター / 協働 / 制度 / 社会ネットワーク / 革新自治体 / NPO / ルール / 規範 / ガバナンス / 地域 |
研究開始時の研究の概要 |
東日本大震災において様々な社会的課題が出現したが、各被災地域の比較研究からは、行政、営利企業、NPO/NGOなどのサードセクターといったマルチセクターの主体が協調的に対応した地域において対応能力が高く、それには「市民協働」などとして表現される、地域ごとに歴史的に構築されてきた協調にかかわる制度(ルール、規範、建造環境など)が寄与していることが明らかになってきた。 マルチセクターの協調を促す制度の効果と、制度が具体地域に構築される様子を把握し、多様な主体が協調して社会的課題の解決をなすことで、地域として社会的課題に対応していく条件について把握する。
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研究実績の概要 |
様々な諸条件を把握するために、具体的なアクターの取引やその結果として構築されるローカルな制度成立の歴史過程を地域誌的に把握する事例研究を中心に進めた。特に仙台市と高知市を中心に、行政とサードセクターの協調関係を促進する制度が、具体地域にどのように構築されてきたかに焦点を当て、歴史研究を行った。特に仙台市については一定のまとめも行えた。 これらの歴史研究を通じた知見によると、サードセクターの社会ネットワークがもたらす知識を、地域としてうまく利用するために、規範やルールといった、セクターを超えて協働するための制度が地域内にうまく構築されていた。仙台市の場合、この制度構築の起点は、1958年から1984年まで続く島野武革新市政下で行われた、住民や社会運動からの意見を政策に反映していく公聴広報政策に求められる。全国総合開発計画時に目指された仙塩合併の失敗から、仙台市は港湾を中心として工業化することがかなわず、財政制約を負った。そのため、福祉のバラマキによらずに有権者から一票を獲得するために、対話型の公聴広報政策が実施された。その中で、消費者問題、障害者、環境といった様々なテーマについて市民運動と協調する規範が仙台市役所の中に生まれ、根付くこととなった。これをベースとして、全国でも最初期の官設民営の市民活動支援施設を設置するなど、協働するための制度を強化し続けていった。 このような地域での制度構築がマルチセクター協調による社会的課題解決につながっていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
統計的研究に関しては、予備的調査を経て、調査項目設計、および、入力データベースの構築設計が終了している。事例研究について2地域を調査でき、うち1地域の成果はまとまりつつある。
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今後の研究の推進方策 |
次年度からは新たな具体地域で事例研究にとりかかるとともに、統計的研究を実施する。
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