研究課題/領域番号 |
19K13455
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 立教大学 (2022) 宇都宮大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
金子 亜美 立教大学, 異文化コミュニケーション学部, 准教授 (90837270)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 文化人類学 / キリスト教 / イエズス会 / ミッション / キリスト教化 / 南米先住民 / 言語社会化 / 集住化 / 歴史人類学 / カトリック教会 / イエズス会布教区 |
研究開始時の研究の概要 |
南米先住民社会は、しばしば大いなる他者として静的に論じられてきた。 しかし南米先住民もまた、彼ら自身にとっての他者との出会いを通じた社会変容という動態にさらされている。本研究では、南米先住民と、そのキリスト教化を目論むイエズス会宣教師のあいだの接触および交流の歴史(17-18世紀)に焦点を当て、 互いの模倣・再解釈を通して進行した双方向的な変容の過程と、それに伴う植民地社会の再編成の様相を解明する。実際の宣教に用いられた言語や音楽をとどめた一次資料(現地語辞書や告解問答集、楽譜)の歴史語用論的分析から、長期的な「混交」の過程(相手を変容させつつ自己もまた変容する過程)を明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究では、17-18世紀スペイン領南アメリカの辺境地域における修道会主導の先住民のキリスト教化を、実際に宣教に用いられた史料から明らかにした。 課題期間を通じ、(1)研究対象の史料の収集や複写、(2)史料の転写と分析、(3)文献研究を行った。(1)と(2)では南北アメリカ大陸諸国での史料調査にて収集した史料を対象とする基礎研究を進めた。(3)では、スペイン領アメリカにおける宣教活動という枠組みを中心としつつ、キリスト教や聖書についての人類学的研究や、先住民を含む書記活動の理解のためにリテラシー・スタディーズをレビューし、その学際的な動向に本事例を位置付けることができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
南米の先住民社会は人格や関係性のあり方の点で他者性のきわだつ地域の一つとしてしばしば取り上げられてきた。しかし他者性を強調しすぎることにより、南米先住民もまた彼ら自身にとっての「他者」との出会いを通じた変容にさらされている事実や、彼ら彼女らをまなざす側もまた接触の過程で自らを変容させてきた事実が軽視されるおそれがある。 植民地期南米において先住民とそのキリスト教化に携わるイエズス会士がいかに交流し、双方がいかなる適応や変容を経験したのかを分析する本研究には、相手を変容させつつ同時に自己もまた変容する双方向的な過程を明らかにする点で、「他者性」をめぐる議論に新たな知見を提示する意義があった。
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