研究課題/領域番号 |
19K13461
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
|
研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
河合 文 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助教 (30818571)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
|
キーワード | 狩猟採集民 / モビリティ / 親族・家族 / モティリティ / 空間 / 社会変化 / 移動 / オラン・アスリ / 社会の変化 / マレーシア / 移動と社会 / 空間の再編 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究はマレーシア半島部で狩猟採集生活を送ってきたオラン・アスリ(バテッ)を対象に、彼らの社会の動態を、環境変化と新たな移動技術の導入による、空間利用や移動性の変化と関連づけて考察する。 これまで狩猟採集民は環境変化や定住化政策によって遊動性が低下していると議論される一方、バイクや車を利用することで移動性が高まっているとも指摘されてきた。 そこで本研究では、以前は家族全員で移動生活を送っていたオラン・アスリ集団に、新たな移動手段の利用によって移動性を高めた人とそうでない人、という差異が生じていないか検討し、こうした差異を彼らの間にみられる社会役割、社会構造と関連づけて考察する。
|
研究成果の概要 |
森林の減少や道路の開通といった環境の変化下で、人びとの暮らしが遊動生活から拠点型移動生活に変化した。男性は遠くまで移動して収入源となる森林産物を獲得し、女性や子どもは拠点に留まる傾向が強まっており、モティリティ(移動可能性)の差異がジェンダー役割に繋がると考察された。さらに、狩猟採集民は広く拡張的に社会関係を築くと議論されてきたが、遊動性と集団メンバーの流動性が低下し特定の人々との関係が強まるなかで、その関係にも変化が生じていることが指摘された。これらは単著、論文(雑誌論文含む)、口頭報告にて発表した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
モティリティとモビリティを区別し、モティリティの差異とジェンダー役割との関連を指摘した点は、移動技術の発展・普及とともに議論が高まってきた「移動と社会」というテーマに狩猟採集民研究を結び付けただけでなく、定住ではなく遊動生活を送ってきた人々への移動技術の影響という点において意義がある。 またこれまで、広く食物を分かち合い、拡張的に関係を築く平等主義であると論じられてきた狩猟採集民だが、遊動性と集団メンバーの流動性の低下とともに、特定の人々の関係が強化され広く平等な関係が構築されているわけではないことが明らかになり、現在の狩猟採集民の実態を示した点においても意義がある。
|