研究課題/領域番号 |
19K13463
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022-2023) 大阪府立大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
大場 千景 大阪公立大学, 大学院現代システム科学研究科, 客員研究員 (90637688)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ガダ・システム / 伝統的政治システムの再興運動 / 慣習法廷 / 伝統の創出 / 儀礼の喪失 / アルシ・オロモ / 伝統的政治体系の再興運動 / ガダの慣習法廷とその実践 / エチオピア / 伝統的政治体系の再興 / ガダ再興運動 / 慣習法/法廷 / 権力闘争 / ルバ組織の再創造 / エチオピア、アルシにおけるガダの知識・実践・伝承 / ガダによる紛争処理法廷 / ガダの理念とクラン主義の葛藤 / オロモ・ナショナリズムとガダ / 多元的政治体制への道程とその現実 / 文化の再興 / 年齢階梯制 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ガダの再興を巡るアルシの人々の言説と実践に着目しながら、国家の成立とともに消滅した伝統的政治体系の再生の可能性とその意味を問うものである。従って、a)20世紀以前のアルシにおけるガダの解明、b)ガダ再興に関わる実践、に焦点を当て調査を行っていく。a)に対しては、ガダに関する知識、伝承、歴史記憶を有する古老からの聞き取りをもとに、20世紀以前のガダの実践について明らかにする。b)に対しては、ガダの再興やガダの役職者の選出を巡る会議や儀礼の中で展開される議論を分析し、人びとの多様な視点、言説と実践のズレや相関関係を明らかにしながら、ガダが再興されていく過程を明らかにしていく。
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研究成果の概要 |
本研究は、1)エチオピアのアルシ社会において伝統的政治体系であるガダが如何なるものであり、現在どのようなガダの実践を行われているか、また、2)現在の政治的背景のもとでいかにして、19世紀後半から解体されていったガダを再構築しているのか、を明らかにした。1)について、ガダの社会的な役割は統治と儀礼にあるが、その儀礼的要素は消失する一方で、その政治構造を残しつつ、慣習法廷での裁定がガダの実践として継承されていた。2)については、アルシの人々は、ガダの再興運動の中で、ガダの構造を換骨奪胎させながら、その構造を再創造させつつ、多様な言説を駆使させながら、ガダの権力をめぐる闘争を行っていた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
文化人類学の分野で伝統的政治システムに関する研究がおこなわれてきたが、多くの社会科学者たちは、伝統的政治システムは、いずれ国民国家の成立とともに消えゆくものであると考えてきた。しかしながら、本研究が焦点をあてたアルシの事例にあるように、伝統的社会構造は現代的コンテクストを組み込みつつ、再解釈、再構築されながら、人々の間で実践され続けていた。本研究の成果の学術的意義とは、これまで取り上げられてこなかった統治にかかわる新しい現象について取り上げ、人間の政治的営みに関する厚い記述と記録を行ったことである。
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