研究課題/領域番号 |
19K13465
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
渡部 瑞希 帝京大学, 外国語学部, 講師 (60782589)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | SNSによる取引関係 / 文献調査 / オンライン / SNS / 道徳経済 / インフォーマル経済 / キャッシュレス・ビジネス / 非言語状況 / 観光取引 / ネパール / 違法ビジネス |
研究開始時の研究の概要 |
カトマンズの観光市場タメルの宝飾市場で取引する小売商人と中国人観光客は、共通言語を持たないために、ジェスチャーや翻訳アプリ、計算機等の非言語的なツールを使って価格交渉を行うも、その取引関係は相互に敵対的である。 しかしそれでもなお、小売商人と中国人観光客は、高額商品を大量に取引したり、中国本土の末端の消費者にSNSを介して観光商品を転売するために連携したり、違法性を有するインフォーマルな取引で協働したりする。本研究では、非言語的な取引状況において、小売商人と中国人観光客がどのような信頼関係や取引上の道徳規範を形成しているかを明らかにするものである。
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研究実績の概要 |
今年度も引き続き、コロナの影響でネパールでの現地調査は断念した。その代わりに本研究 のテーマでもあるオンラインによる取引の研究を遂行し、その結果を「観光における不確実性とリスク:不安と分断に抗する観光実践への理論的展望」『観光学術評論』に結実させた、オンラインの研究と関連して「デジタル機器の妖怪学」『帝京大学国際日本学研究』に結実させた。2本の論文ともに、オンラインでの取引が単なる虚構としての仮想空間委とどまらず、現実世界を構成する重要なファクターであることを明らかにしている。これは、本研究の主張と同様、非言語状況によって実際の取引が進行するという観点と類似のものである。 また、本研究の題目の一部である「非言語状況」や新型コロナウイルスの影響で当該調査地を離れた中国人事業家や中国人観光客を「不在」ととらえる新しい知見を得て、2022年度後半からは不在論の文献調査に取り組んでいる。現在、「不在の人類学」と題した研究の可能性を模索しており、それは本研究のテーマと結びつく可能性を秘めている。 その他、2022年度に採択された「基盤B:観光における不確実性とリスク:不安と分断に抗する観光実践への理論的展望」での研究会では、本研究のテーマと関連した「SNSによる中国人観光客の取引関係」について発表した。具体的には、中国人観光客がSNSを駆使して観光と転売の両方を生業としていること、SNSにおけるビジネス関係がどのようなツールでなりたっているかなど、本研究の基盤を固める研究を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの影響で、研究対象者である中国人観光客がネパールの観光市場にいまだ戻っていないことから、現地調査を実施することは困難であったため。
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今後の研究の推進方策 |
中国人観光客がネパールに戻れば、夏休みもしくは春休みを利用して、現地調査を実施する。また、「不在」という新たなテーマで研究を進展させるため、学会誌である『文化人類学』や『観光学評論』に投稿する。 また、2024年度に単著と共著の出版をする予定であるため、引き続き、SNSによる取引関係に関してオンライン調査を実施する。
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