研究課題/領域番号 |
19K13466
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 聖心女子大学 (2022) 早稲田大学 (2021) 東京大学 (2019-2020) |
研究代表者 |
岩原 紘伊 聖心女子大学, 現代教養学部, 講師 (80757419)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | NGO運動 / 観光開発 / 市民 / バリ / 環境意識 / NGO / 世界遺産 / レジリエンス / 農業 / 市民社会 / 社会運動 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は現代インドネシア・バリにおける観光開発反対運動に焦点を当て、観光地に生きる人びとが生活世界を席巻する観光という現象にどのように対処しようとしているのかを、民族誌的に明らかにすることを目的としている。2012年以降、バリ島で活発化しているブノア湾埋め立て反対運動は、ポスト・スハルト期に入って最も大規模に行われている観光開発反対運動である。本研究ではこの動きに注目し、誰によってどのようにして観光開発反対運動が組織化され、展開されているのかを問うことで、現代バリにおける市民社会のあり方を文化人類学の立場から考察する。
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研究実績の概要 |
本研究は、インドネシア・バリにおいて近年活発に展開されているリゾート開発反対運動を対象に、観光地に生きる人びとが観光をめぐる問題にどのように対処しようとしているのかを、文化人類学の立場から明らかにすることを目的としている。本研究では、特にNGOや慣習村の動きに焦点を当てている。研究を進めるためには現地調査の実施が必須であったが、令和4年度も新型コロナウイルス感染症の流行が世界的に継続していたこと、そして令和3年に出産した子の育児のため、現地調査を実施できなかった。 一方で研究を進めるために、現地メディアによる観光に関連する報道、反対運動を中心的に支えてきたアーティストたちの活動などに注目し、現地の動向を探るべく情報収集を継続した。また、令和4年3月よりインドネシアでは到着ビザの発給が再開され、バリ島に国際観光客が戻りつつある。新型コロナウイルス流行による観光産業への打撃がどのように観光開発の展開に影響を与えているのかについても、政府機関の報告や現地メディアでの報道等から情報整理を行った。 文献研究としては、インドネシアを中心に、環境運動や開発問題に関連する文献を収集し、内容を整理した。また、平行してインドネシア・カリマンタンのムラトゥス山脈を舞台としたアナ・ツィンのエスノグラフィである『Friction』の翻訳も文化人類学者および地域研究者と共同で進めた。翻訳作業を通して、インドネシアの環境活動にある思想的背景や都市と農村の関係等について検討を重ね、本研究課題を進めていくにあたっての重要な示唆を得た。その成果となる翻訳は、令和5年度中に出版される予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
育児と新型コロナウイルス流行が重なり、インドネシア・バリでの現地調査を初年度である令和元年以降できていない。そのため、当初予定していた研究計画の予定が大幅に遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、インドネシアへ2回渡航し、現地調査を実施することを予定している。現地調査では、令和2年度以降行うことができていないリゾート開発反対運動に参加していた慣習村をはじめとする参加者の動向、および日本において行ってきた文献研究で明らかになった課題を踏まえてデータ収集に注力する。また、現地調査で収集したデータは、学会や研究会等で報告し、最終的には論文としての成果発表を目指す。
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