研究課題/領域番号 |
19K13475
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 関西国際大学 |
研究代表者 |
清水 拓野 関西国際大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (40791520)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 学校化概念 / 芸歴インタビュー / 無形文化遺産の保護・伝承 / 無形文化遺産の教育研究 / 実践知 / 学校化概念の比較考察 / 訪問調査 / 文献収集 / 芸能教育 / 学校化 / 無形文化遺産 / 徒弟教育 / 人材育成 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、文化人類学の立場から、伝統芸能教育の学校化の特徴と長短について明らかにし、その知見が無形文化遺産芸能の後継者育成問題を考えるうえでも役立つ点を示すことである。近年、芸能教育の近代化によって学校で伝承される芸能が増え、新たな伝承形態としての学校への関心も近年少しずつ高まりつつあり、学校教育を通して積極的に人材育成する無形文化遺産芸能もみられるようになった。本研究では、国定無形文化遺産の中国伝統演劇・秦腔に注目し、先進的な中等演劇学校の教育実践の特徴と長短を明らかにする。そして、芸能教育の学校化の理論モデルを構築し、無形文化遺産芸能の後継者育成にとって有効な人材育成法を提案する。
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研究実績の概要 |
本研究は、文化人類学的視点から、中国伝統演劇・秦腔の俳優教育を事例分析し、伝統演劇教育の学校化の特徴と長短を明らかにすることが目的である。そして、国営、民営、中央政府所属の中等演劇学校という3種類の演劇学校の比較分析をもとに、芸能教育の学校化の理論モデルを構築し、学校教育を通して伝承される無形文化遺産芸能の保護・伝承問題へ応用することをめざしている。 ただし、コロナによる中国への渡航規制や中国国内のロックダウン(調査地・西安も含む)などによって、予定していた現地調査が行えなかったので、2022年度は、異なる世代の俳優への下積み修行や芸歴に関するオンラインでのインタビューと俳優教育関連の文献の収集・分析を継続した。インタビューに関しては、中華人民共和国建国前の俳優教育を知る世代も含め、建国後の俳優教育の変化を把握するそれ以降の世代の俳優を10歳単位で区切り、新たに計20人の俳優に対してインタビューすることが出来た。文献の収集・分析に関しては、これまでの現地調査で収集してきた秦腔の俳優教育関連の文献に加え、新たに中国から俳優教育関連の文献資料も取り寄せて分析し、秦腔演劇界の西安易俗社や陝西戯曲研究院などの俳優教育に大きな影響を与えてきた教育組織、および、中国戯曲研究院などのような中央の重要な俳優教育機関の特徴をさらに詳細に把握することが出来た。 一方、芸能教育の学校化概念の理論化を進めるために、日本の芸能教育研究者ともコラボして、能楽などのアジアの他のより徒弟教育的な芸能教育との比較分析も行った。さらに、学校化の効果と無形文化遺産の保護・伝承問題を具体的に分析するために、実践知の概念を応用した分析も行った。これらの成果は、たとえば、「教育の視点からみた無形文化遺産研究:「実践知」の概念を手がかりに」『関西国際大学研究紀要』24号、pp.41-54、などの論文として公表している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウイルスのパンデミックによる中国への渡航規制と調査地・西安のロックダウンや関連の規制のため、2022年度も予定していた現地調査は出来なかった。それゆえ、オンライン・インタビューで代替する方向で進めている。文献資料の収集と分析もかなり進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
コロナウイルスによる渡航規制が徐々に緩和されてきているが、まだ以前の状態に完全には戻っていないため、現地調査の部分は後回しにし、すでに収集した現地調査による一次資料や文献資料の分析を行いつつ、今後もオンライン・インタビューや理論的研究や能楽などの他の芸能との比較研究をまず優先的に行う予定である。現地に行けるタイミングが来たら、フィールドワークを再開する。
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