研究課題/領域番号 |
19K13478
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
早川 真悠 国立民族学博物館, グローバル現象研究部, 外来研究員 (20720361)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 文化人類学 / ジンバブエ / 貨幣 / 行商 / 会計 / レソト / 経済人類学 / レソト王国 / ジンバブエ移民 / 人類学 |
研究開始時の研究の概要 |
南部アフリカのレソト王国には、インフォーマルな行商をおこなうジンバブエからの出稼ぎ移民が多くいる。彼らはホウキやモップ、毛布など、さまざまな日用品を肩や背にかつぎ、都市部や農村部で売り歩く。 とくに注目すべき点は、彼らの帳簿記録と支払い遅延への対処である。彼らが帳簿を記録するのは事業全体ではなく一部(掛売りをした場合のみ)である。また、代金の支払いが遅れた場合、顧客にたいする罰則などはなく、顧客よりもむしろ行商人の方が多くの労力や負担を負いながら未払金が回収される。 本研究ではこうした彼ら独自の経営・会計方法について、現代社会の一般的な会計方法や財産管理の仕方と比較しながら明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究は、南部アフリカにおける人びとの「固有の会計方法」について明らかにしようとするものである。具体的には、レソト王国におけるジンバブエ人移民の行商活動に焦点を当て、彼ら独自の会計方法(価値の計量、財産管理、取引記録)について人類学的調査をおこない、その結果を近代会計や監査制度と比較する。 近年、会計や監査制度が社会的拡大し、人類学や社会学では批判的に検討されている。本研究ではローカル社会の会計実践を「多様な価値尺度を用いた複雑(かつ適度な)数量化と計算」の結果と捉え、現代社会の会計・監査方法を再考する手掛かりのひとつとする。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
調査の結果、ジンバブエ移民の行商人がつける帳簿ではしばしば掛売り発生日や遅延金の支払いがなされた日付の記録があいまいになることが分かった。この点は一般的な簿記とは記録の仕方が異なっており、支払い遅延の損害金計算のために遅延日数を使用するような発想がない可能性がある。 「会計の公準」についてはしばしばその問題点が指摘されてきた。しかし、会計や簿記において取引の日付を明記し単線的に数値化された時間を前提とする点は、言及さえされないほど自明視されている。しかし一元的な時間を想定し貨幣価値と結びつける発想は、(南部アフリカの)人びとの会計を踏まえれば、相対化してとらえる必要がある。
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