研究課題/領域番号 |
19K13479
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 神戸大学 (2020-2022) 国立民族学博物館 (2019) |
研究代表者 |
大石 侑香 神戸大学, 国際文化学研究科, 講師 (80790849)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 毛皮 / ドメスティケーション / グローバルストーリー / 狩猟 / キツネ / ミンク / 北極先住民 / ヒトと動物との関係 / 資源管理 / 毛皮交易 / 北極域先住民 / グローバルヒストリー / 畜産業 / 人と動物の関係 / クロテン / シベリア / 家畜化 / 動物観 |
研究開始時の研究の概要 |
中世以降に拡大する世界的な毛皮交易は野生毛皮動物の乱獲と資源枯渇を招いた。これを受けて19世紀には肉食性毛皮動物の家畜化が進み、世界商品としての毛皮の生産方法が狩猟から飼育へと移行する。本研究目的は、どのように野生毛皮動物の家畜化が進み、人と動物の相互関係にどのような影響を与えたかについて解明することである。具体的には、ミンクやキツネ、タヌキを対象に文献と民族誌的現地調査により、①19世紀以降に日本と北ユーラシア、北米で近代毛皮産業(生産・流通・消費・装いの文化)が展開する経緯、②それによる人間の動物観・行動と動物自体の身体・行動の変化を解明し、グローバルヒストリーの観点から考察する。
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研究実績の概要 |
2022年度は、ロシアにおいて毛皮産業に関する現地調査を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染症拡大とロシアによるウクライナ侵攻の影響をうけて中止した。代わりに、毛皮標本収集とグリーンランド調査を行い、物質文化の観点から毛皮の需要の変遷についてや、近年の狩猟の変化と毛皮生産との関係について分析した。物質文化研究では、グリーランドのイヌやワモンアザラシ、ホッキョクキツネなどの毛皮を収集し、シベリアのオオカミやテン類などの毛皮の物質性と人間の利用方法を比較した。また、グリーンランドにおいて毛皮の市場調査および現地のハンターたちへの聞き取りを行った。 結果として、物質文化比較研究からは、チュクチやイヌイトらが防寒という機能性重視の毛皮利用を行うのに対して、西シベリアの人々が毛皮の防寒機能だけでなく、種ごとに異なる聖性が毛皮あるとみなして臀部を覆うズボンの作成に毛皮を用いなかったり精霊の化身である犬猫の毛皮を使用しないということなどが明らかになった。この研究から、毛皮動物飼育においてこうした毛皮観がいかにあらわれるかという新たな検討項目を得た。また、グリーンランド調査からは、ジャコウウシがスノーモービルの音を怖がることで生息域が変わり、それにともない他の動物らの分布も変化したなど、人間活動と動物行動の関係とそれによる狩猟の変化といった生態的つながりについて知見を得た。 これらの研究成果を単著の一部に入れて公表した。また、一般向けのアウトリーチとして国立アイヌ民族博物館と北海道立北方民族博物館でシベリアの毛皮利用に関する講演を行い、動物種による毛皮の特性の側面から彼らの装いのありかたを提示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題の主な実施内容はフィールドワークによるデータ収集とその分析である。しかし、本年度は新型コロナウィルス感染拡大およびロシアによるウクライナ侵攻の影響により、予定していたロシア等への調査渡航を控えた。そのため進捗状況はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
1年間延長申請をして、8月から9月にフィンランド、3月にアラスカ、2月に函館でのフィールドワークを行い、論文執筆に十分な資料収集を行う。
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