研究課題/領域番号 |
19K13500
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05020:公法学関連
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研究機関 | 金沢星稜大学 |
研究代表者 |
土屋 仁美 金沢星稜大学, 経済学部, 准教授 (80727040)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 食品衛生法 / HACCP / 食文化 / 食品安全 / 柔軟性措置 / EU / 食の多様性 / 主要農作物種子法 / 食料への権利 / 市場メカニズム / 食品の安全性 / flexibility / 柔軟性 / 民間規格 / 公的規制 / リスク管理 / 製品の差別化 / 科学 / 価値 / 市場 / 多様性 |
研究開始時の研究の概要 |
食品分野では、和食一般だけではなく地域独自の食文化に注目が集まっている。しかし、日本の法学においては、食品の安全性の確保以外の論点は必ずしも重視されていなかったことから、地域独自の食文化を法制度の中でどのように位置づけ、保護・継承していくのかが問題となっている。 そこで本研究は、日本の法学において未だ学術的研究が十分に行われていない、地域独自の食文化・伝統の観点から、食品分野における地方自治体の独自措置を基礎づけるための法理論を検討する。
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研究実績の概要 |
2018年の改正食品衛生法により、日本の食品分野においてHACCP方法論に沿った衛生管理が制度化された(同法51条3項)。これまで地方自治体の条例に委ねられていた衛生管理の基準が法令により平準化されたことで、地域の伝統的食品への影響が懸念されている。 食品の安全性の確保は、「国民の健康の保護が最も重要であるという基本的認識の下に」必要な措置が講じられなければならない(食品安全基本法3条)。しかし、食料にとって文化的「価値」は不可欠な要素である。改正食品衛生法の制定過程では、文化的側面が十分に考慮されたとは言い難く、地域の伝統的食品への制限が必要最小限度に留められているか否かについては再考の余地がある。 対してEUでは、日本とは異なり、高水準の健康保護を確保する(欧州連合機能条約168条)とともに、それぞれの国や地域の多様性を尊重し(同条約167条1項)、文化的側面を考慮することが求められており(同条約167条4項)、食品の安全性の確保と地域の食文化の保護・継承が一体的に追求されてきた。リスク分析に基づく安全性の確保が重視され、衛生管理システムとしてHACCPが導入されるとともに、食の多様性に基づく柔軟性措置が講じられている。 そこで、日本に先んじて衛生管理システムとしてHACCP方法論が制度化され、食の多様性に基づく柔軟性措置が講じられているEU食品衛生分野の議論を参考に、リスク分析に基づく安全性の確保と数的評価では証明できない文化的「価値」の均衡について検討した。改正食品衛生法に基づく日本の食品衛生管理システムの特徴と、HACCP方法論に柔軟性措置が導入された背景について把握したうえで、EU食品衛生管理システムにおける柔軟性措置の必要性と課題について、欧州司法裁判所の解釈および調査報告書から明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウィルスの感染拡大により、2020年~2022年度前半までの研究計画が変更になり、国内外の現地調査等が計画通りに実行できなかったため、EU食品衛生分野におけるEU機関と加盟国の役割分担、日本の食品衛生分野における国家と地方自治体のの関係について、考察を深めることができなかった。また、経済状況が急変したことで、食文化の市場化および自由競争市場への影響等についても考察を深めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
食品安全分野における文化的価値への対応には、文化行政としての側面があり、文化の自由権的側面と社会権的側面、抑圧的文化への対応、文化の固定化と変化の阻害などの留意すべき点が存在する。また、地方自治体による文化的価値の考慮によって、全国一律基準による国の食品政策との抵触・逸脱、自由競争市場への影響などが懸念されており、さらなる検討が求められる。 そこで、今後は上記の点について検討を進め、食品分野における地方自治体の独自措置を基礎づけるための法理論に関する研究成果をまとめて書籍として発行することを目指す。
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