研究課題/領域番号 |
19K13506
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05020:公法学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
海道 俊明 近畿大学, 法務研究科, 准教授 (40626933)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 取消訴訟の排他性 / 公定力 / 遮断効果 / 違法性の承継 / 取消訴訟の排他的管轄 / 裁決主義 / 先決問題 / 本案主張制限 / 行政行為の効果 / 立証責任 / 行政裁量 |
研究開始時の研究の概要 |
いわゆる「取消訴訟の排他的管轄」は、戦前において行政行為の実体法的効力として理解されていた「公定力」が、行政事件訴訟法により認められる手続法的効力として再整理された際に導出された概念である。同概念は、行政救済法分野において、現在第一級の重要性を有する法概念としての地位を確立した一方で、その実質的内容や射程範囲等について統一的な見解が得られているとは言い難い状況にある。そこで、本研究においては、伝統的な「公定力論」の歴史的な分析を通じて、「取消訴訟の排他的管轄」の全体像の解明に努める。
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研究成果の概要 |
本研究は、いわゆる「取消訴訟の排他性」に関わる諸問題を考察し、その射程の分析を試みるものである。 具体的には、違法性の承継に係る問題を取り上げ、同問題に係る学説状況を整理し、先行処分の違法性が後行処分の取消訴訟において主張されることの構造分析を行った上で、その主張の原則的遮断は、取消訴訟の排他性によって根拠づけることができることを示した。 また、取消訴訟の排他性は、手続的観点から認められる本案主張制限の問題であるところ、同様に手続的観点から本案における主張が制限される場面として、不服申立前置主義ないし裁決主義が採用されている場合についても検討を行った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
取消訴訟の排他性は、一般に処分の効果の通用力としての公定力を手続的に捉えた概念として示されるものであり、違法性の承継場面における違法主張は先行処分の効果の否定を直接的に目指すものではないため、違法性の原則的遮断は取消訴訟の排他性からは導かれないとの指摘もされている。もっとも、後行処分の取消判決の拘束力によって究極的には先行処分の効果が否定されること等により、当該違法主張が先行処分の効力の否定を導くことを本研究では提示した。 本研究は、違法性の承継問題における取消訴訟の排他性概念の意義及び射程を捉え直した点において学術的な意義がある。
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