研究課題/領域番号 |
19K13509
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05020:公法学関連
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研究機関 | 九州産業大学 |
研究代表者 |
宮内 紀子 九州産業大学, 基礎教育センター, 准教授 (70755800)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
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キーワード | 国民 / 国籍 / 法的構成員 / Brexit / 憲法 / 構成員 / 連合王国 / EU / 国民概念 / 社会権 / イギリス / 外国人 / 選挙権 / ブレグジット |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では連合王国の国家の法的構成員性を検討する。一般的に国籍は国家との紐帯とされ、日本国籍=国家構成員と理解されているが、連合王国では国籍概念は曖昧かつ漠然とし、一定の明白な法的構成員性が不在である。本研究では旧植民地市民など国家の法的構成員性の周縁にある者を念頭にし、選挙権および被選挙権、社会権の付与の範囲から連合王国における国家の法的構成員を検討する。
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研究実績の概要 |
本研究は、連合王国を対象として、個人と国家の関係性を明白に示すものとされている国籍概念を再検討し、国家における法的構成員とは誰かを明らかにしようとするものである。 2022年度は2021年度より継続して、連合王国の国民概念へのBrexitによる影響を検討し、分析結果を研究論文として公表した。EU構成国市民は連合王国の国籍法上は外国人とされていたものの、関連法規により連合王国への入国や在留は自由とされていた。入国規制は大きく、EU構成国市民に対するものとそれ以外の外国人に対するものに分けられ、後者には特に厳格な政策が採用されてきた。そしてEU構成国市民はイギリス国内ではイギリス市民同様に様々な権利を享受していた。つまりEU構成国市民は外国人でありながらイギリス市民に非常に近い取扱いを受けていた。連合王国では国籍法で自国市民が定義されておらず、さらに連合王国本国から旧植民地の市民にも法的地位を認めており、国籍概念・国民概念は非常にあいまいで、国家と個人の関係は多様であった。このような状況においてEU構成国市民は国民概念の周縁に位置づけられていたと考えられる。Brexit後、EU構成国市民は外国人として厳格な入国規制の下に管理されることになった。その位置づけは後退し、外国人として明確に扱われることになった。これにより、イギリスの国民概念は、イギリスの国籍法で法的地位を認められている者については曖昧で多様であるが、EU市民も含め外国人については、境界線は明確化したといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスの流行に伴い、連合王国での資料収集やその分析などを実行できていない。ただし、この遅延は新型コロナ発生後から解消できず抱えているもので、これ以外についての遅延は生じていない。
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今後の研究の推進方策 |
本年は連合王国に渡航予定である。連合王国での資料収集や現地の研究者などとの議論を通じて、これまでの研究の総括、つまり、連合王国での国民概念や法的構成員性などについて調査・検討したい。
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