研究課題/領域番号 |
19K13514
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05030:国際法学関連
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研究機関 | 長崎県立大学 (2022-2023) 早稲田大学 (2020-2021) 東京大学 (2019) |
研究代表者 |
平見 健太 長崎県立大学, 国際社会学部, 准教授 (10812711)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 国際法 / 国際経済法 / 無差別原則 / 公正性 / 規制裁量 / 平等 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、現代における行政国家現象の更なる進展によって国際法規律と主権国家の規制裁量とのバランスが鋭く問われるようになっているなかで、国際経済法上の無差別原則にいかなる変容が生じつつあるのかを、その解釈論的枠組を再構築する作業を通じて究明するものである。まず、およそ平等規範に通底する規範構造とその特質を把握することによって、国際経済法上の既存の無差別原則理解を批判的に検証する視座を設定する。そのうえで「無差別原則=競争条件の平準化」という従来の固定観念を相対化し、国家の規制裁量を適切に確保するためにはいかなる解釈論上の修正が施されるべきか、また、かかる修正がいかにして可能であるかを検討する。
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研究実績の概要 |
本補助事業開始以後に生じた国際社会・国際経済関係の混乱、激変の結果、本研究が当初設定した無差別原則に関する解釈論上の再構成では今日の規制裁量にまつわる課題(経済と安全保障、人権保障、環境保護などとの利益衡量問題)を受け止められなくなっていることをふまえ、昨年度に引き続き最終年度は、マクロな文脈のなかで国際経済法の基本原理を捉え直すことに注力した。その結果、国際経済法実践において諸国のあいだで公正論議が再興しつつあること、そのなかで諸国の公正観にも徐々に変化が生じていることを見出した。 歴史的に、国際経済法の文脈において諸国が公正性(fairness)をどのように捉えているのかが、実定法の背後にあって法秩序の規範構造を規定してきたことをふまえると、公正性という鍵概念の変容を分析することが、現在生じている秩序変動の意味やその方向性を把握するうえで不可欠であると考えるに至った。関連する研究成果として、拙稿「公正概念の再考―国際通商法秩序の変容を分析するための覚書―」(須網隆夫・中川淳司・古谷修一編『国際経済法の現代的展開ー清水章雄先生古稀記念』信山社、2023年、249-268頁)を執筆・公表した。 2019年度から2023年度にわたる本研究では、とくに後半において当初想定していたものとは異なる研究の展開が見られたが、結果的には将来の国際経済法研究にとって重要な視座を得ることができたと理解している。
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