研究課題/領域番号 |
19K13534
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05050:刑事法学関連
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研究機関 | 法政大学 (2020-2022) 東京大学 (2019) |
研究代表者 |
佐野 文彦 法政大学, 法学部, 准教授 (20779516)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 責任能力 / 刑事責任論 / 刑事責任能力 / 刑事責任 / 責任非難 / 精神障害 |
研究開始時の研究の概要 |
近時、刑事責任能力(精神障害罹患者等の刑事責任の判断)について、刑法学説上議論が活況を呈している。この背景には、通説的見解を適用した場合の具体的判断が不明瞭である中で、裁判員裁判導入により判断を明確に言語化する必要に迫られた裁判実務において、通説的見解とは必ずしも相容れない判断基準・着眼点が提示されるようになったという、学説と実務の乖離の顕在化が認められる。本研究では、日本の学説と実務が如何にして明確に乖離するに至ったのかを解明し(歴史的研究)、問題の所在を明らかにした上で、諸外国の学説と判例実務を批判的に考察することで(比較法的研究)、理論と実践を架橋する刑事責任能力論の構築を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究は、学説実務で議論が活発な刑事責任能力判断の理論的検討を行うものである。まず、我が国における刑法学・刑事実務・司法精神医学の文献等の網羅的調査により、一般的に共有されている昭和6年判例の本来的意味が、現在の有力な理解と異なること、また現在の学説と実務の乖離が、如何なる経緯で生じたかを明らかにした。そして、必ずしも我が国で注目されてこなかった諸外国の学説や判例等の検討により、有益な知見を獲得した。さらに、国内外の研究者・実務家・精神科医と意見交換や具体的事例の検討を行ったうえで、複数の学会で報告を行い、我が国の議論に具体的な提言を行った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
刑事責任能力判断は社会的耳目を集める分野だが、裁判員裁判導入以降、刑法学説・刑事実務で最も注目が集まる分野の一つでもある。近時の刑事実務の動向は、現在の有力説の論理的整合性等に疑問を投げかけるものであり、責任非難の原理に根差すと共にその適用範囲を明らかにする理論が求められている。本研究は、有力説の判例解釈に必然性がなく、また刑事実務の背景に一定の理論的立場があることを、判例学説史の網羅的検討により明らかにし、今後の議論の前提となる枠組み・情報を明らかにする点で、学術的意義を有する。さらに、裁判例分析を含む具体的議論を提起し、裁判実務に対する内在的・批判的検討を可能にする点で社会的意義を有する。
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