研究課題/領域番号 |
19K13536
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05050:刑事法学関連
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研究機関 | 龍谷大学 (2020-2021) 立命館大学 (2019) |
研究代表者 |
大谷 彬矩 龍谷大学, その他部局等, 研究員 (00801622)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 精神障害者処遇 / 犯罪行為者処遇 / 再犯防止 / 保安処分 / 自由刑 / 医療・福祉の提供 |
研究開始時の研究の概要 |
津久井やまゆり園事件を契機として、精神保健医療福祉制度の改革について議論された。しかし、そこで強調されていた再犯防止概念が精神障害者処遇に与える影響は明らかではない。 本研究では、①保安処分の導入を本格的に検討した60~70年代の議論を対象とした理論的研究と、②ドイツの保安処分制度を対象とする比較法的研究を行う。①・②への取り組みを通じて、わが国の精神障害者処遇が医療・福祉の提供としての性質を有しているために必要なことについて明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究は、精神障害者と犯罪行為者の処遇との間の境界や、精神障害者処遇の領域で「再犯防止」を強調することの意味を明らかにすることを目的に実施した。 ドイツを対象とする比較法研究において、自由刑と保安処分との間の「懸隔の要請」に着目し、その強調は、保安監置による被監置者に特別な設備を要求する一方、通常の自由刑について定めた行刑法においては、法および憲法上予定された再社会化の任務をおろそかにするという批判があることを明らかにした。単著では、保安処分施設における生活状態を一般の生活状態に、より適合させなければならないとする要請が、刑事施設よりも強いことを指摘した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年、日本では、自由刑の在り方について、法制審議会において議論が行われてきた。そして、懲役と禁錮の区別を廃止した新たな刑である「拘禁刑」が創設されようとしている。しかし、刑法への規定ぶりによっては、拘禁概念の中に多種多様なものが組み込まれ、実質的に保安処分が刑罰の中に取り込まれることが危惧される。保安処分は自由刑とは異なり、何らかの目的(治療、教育、社会保安など)を達成するための手段である。その強い目的性は自由刑以上の拘束強制をも要求し得るため、人権保障の仕組みが必要である。本研究の成果は、以上のことを明らかにしたものであり、自由刑の改革に当たっても参照される意義を有すると思われる。
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