研究課題/領域番号 |
19K13541
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05050:刑事法学関連
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研究機関 | 明治学院大学 (2022) 大東文化大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
小島 秀夫 明治学院大学, 法学部, 教授 (10837884)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 共謀共同正犯 / 規範論 / 言語行為 / 故意 / 包括的共謀 / 間接幇助 / 過失の共同正犯 / 論理学 / 申合せ罪 / 重罪共謀罪 / コミュニケーション関係 / 契約類似の拘束力 / 共同義務の共同違反 / 言語哲学 / 語用論 / 実行行為 / 間接教唆 / 義務論理 / 因果関係 / 幇助犯 / 教唆犯 / 言語行為論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、共謀のみ関わった者に正犯としての性質、すなわち共謀共同正犯が認められるのはどのような場合か、法哲学・言語哲学の分野で展開されている言語行為論やドイツ刑法典に規定されている申合せ罪をめぐる議論を踏まえて、立ち入った考察を加える。本研究を通じて、本来ならば教唆犯や幇助犯として軽い量刑で処罰されるべき者が共謀共同正犯として格上げされていないか、明らかにすることができると考えている。
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研究成果の概要 |
本研究課題においては、「共謀行為を言語行為論の観点から考察することで、可罰的な共謀行為の規範的基準を明らかにし、共謀共同正犯の成立範囲を限界づける」ことを目的とした。言語行為論に基づく基礎理論的考察およびドイツやオーストリアとの比較法的考察の結果、各関与者が、一定の無価値な結果の実現に向けて相互に拘束しあう、ある種の連帯関係ないしコミュニケーション関係を構築し、無価値な結果を生じさせる現実的危険性を認識している場合には、共謀行為のみ関わった者も、直接行為者に実行の着手が認められる限り、共同正犯として処罰されうるとの私見を示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
わが国の共犯事件では、関与者の9割以上が共同正犯して処罰されていると推察される。もっとも、共謀者の一部が犯罪を実行すれば、共謀にのみ加わった者も共同正犯として処罰されうる共謀共同正犯がどのような場合に成立するのかということは、これまで必ずしも明らかではなかった。共謀を言語行為論の観点から分析すると、共謀行為それ自体を実行行為そのものと評価されうる場合はあくまで限定的であるに過ぎない。本研究の成果を踏まえると、共謀共同正犯の成立範囲はこれまで以上に限定的なものとなるはずであり、共同正犯に代わり、教唆犯や幇助犯の成立可能性が広がることになる。
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