研究課題/領域番号 |
19K13543
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05050:刑事法学関連
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研究機関 | 広島修道大学 (2021-2022) 早稲田大学 (2019-2020) |
研究代表者 |
伊藤 嘉亮 広島修道大学, 法学部, 准教授 (00837792)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | テロ等準備罪 / 共謀罪 / 共同正犯 / 共謀 / テロ等準備 / 刑法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、テロ等準備罪の成立を合理的な範囲内に限定するために、「共犯論に関するこれまでの研究成果の応用」、「横断的な比較法研究」、「周辺諸科学の知見(例えば社会心理学における集団力学)の援用」の3つを基軸に据えた上で、本罪の処罰根拠(法益に対する抽象的危険の意義)および個々の成立要件(組織的犯罪集団、計画、計画に基づく実行準備行為)を解釈論的に考察するものである。
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研究成果の概要 |
我が国の共謀罪(テロ等準備罪)における「共謀」は、共同正犯の成立要件としての共謀と同義のものと一般的に理解されているが、共同正犯における共謀がそもそも多義的な概念である。 テロ等準備罪の共謀は、それ自体が処罰を基礎づけ得るだけの実体を伴うものであるから、それは共謀共同正犯における共謀に近い概念として理解される必要がある。もっとも、共謀共同正犯の共謀も多義的である可能性があるため、テロ等準備罪の成立には心理的拘束力を基礎づけるような共謀が求められるのか、そこまでには至らない程度の共謀でも足りるのか(そもそもそれはどういった内容の共謀なのか)を改めて検討し直す必要もある。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
テロ等準備罪の共謀も、共同正犯の共謀も多義的な概念であり、関係者間の緊密な意思疎通を意味することもあれば、互いの行動を認識し合う程度の希薄な意思疎通を意味するに過ぎないこともある。近時、共同正犯の共謀をめぐっては、インターネットを通じた希薄な意思疎通でも共謀共同正犯は基礎づけられるとの理解が一般化しつつあるが、こうした解釈にはテロ等準備罪の成立範囲を拡張させてしまうリスクがある。テロ等準備罪を謙抑的に解釈し、その成立範囲を適切なものにとどめるには、まずもって共同正犯の共謀概念を解明し、どのレベルの共謀が本罪の成立に必要なのかを明らかにすべきであって、この問題意識を共有しなければならない。
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