研究課題/領域番号 |
19K13552
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05060:民事法学関連
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研究機関 | 小樽商科大学 |
研究代表者 |
橋本 伸 小樽商科大学, 商学部, 准教授 (20803703)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 利益吐き出し / 理論的根拠 / 人格権 / ハノック・ダガン / 英米法 / 原状回復法 / 要件・効果 / 信認義務違反 / 知的所有権侵害 / 主観的要件 / 因果関係 / 利益の配分 / 手当 / Hanoch Dagan / 不当利得 / 不法行為 / 契約違反 / プライバシー侵害 / 名誉毀損 / 救済法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、近年わが国のみならず、比較法的にも注目を集めている「利益吐き出し法理」―他人の権利・利益の侵害行為を契機に加害者が被害者 の損害を超える利益を収受した場合に、被害者の損害ではなく、加害者の利益に着目し、当該利益を被害者に帰属させる法理―の理論的な問題、すなわち、なぜ加害者は利益を吐き出さなければならないか、また被害者は当該利益を取得することができるのか、またその根拠は一元的なものではなく、多元的に捉えることができないかを検討する。
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研究成果の概要 |
他人の権利・利益を侵害することにより利益を取得する行為について法的にどのように対応するかはわが国のみならず、世界的にも問題となりつつある。本研究は、その際に用いられる「利益吐き出し」法理の理論的な課題に取り組んだ。具体的には、本研究は、比較法的な考察を踏まえたうえで、従来の見解で説かれる侵害者に対する制裁・抑止として一元的に正当化しようとする見解は不十分であり、利益吐き出しが問題となる文脈に応じた《多元的な根拠付け》が必要となること、そしてその際には、従来の議論とは異なり、特定履行の平面で利益吐き出しを根拠付けることも考えていくべきであると指摘した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
従来から「利益吐き出し」法理の必要性は説かれ、一定の議論の蓄積は見られたものの、この問題領域の横断的な研究は十分にはなされてこなかった。その中で本研究は、包括的な研究を行い、従来の議論では一元的な根拠づけを所与の前提となりつつあった根拠論について多元的な根拠論を指摘し、かつ(90年代後半から既に存在していたものの)従来の議論では注目されることがなかった特定履行救済として利益吐き出しを説く見解について注目し、わが国の今後の利益吐き出しの議論の底上げを図った。また、人格的権利との関係では、自由な譲渡性を制限しつつも、侵害された場合の利益吐き出しの根拠づけも試みた点は社会的意義もあると考える。
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