研究課題/領域番号 |
19K13561
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05060:民事法学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
佐野 智也 名古屋大学, 法学研究科, 特任講師 (30419428)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 法情報 / 情報基盤 / ロエスレル草案 / 民商法典 / 外国立法例 / 近代法制史 / 商法史 |
研究開始時の研究の概要 |
民法と商法の規定について、統一して民法に取り込む、あるいは、民法の一部として取り込むことが、世界的にも大きな流れとして存在し、民法と商法を関連付けて研究していくことが必要となる。 民法・商法ともに、その沿革は、明治時代までさかのぼる。民法については、明治期の立法沿革に関して、これまでに多くの研究が存在し、立法資料の利用環境も充実している。これに対して、商法は、明治期の立法沿革に関する研究が十分にされておらず、立法資料も未解明の部分が多い。これらの顕著な差をデジタル化によって一気に埋め、民法と商法を横断的に接続し、有機的に連携させて、種々の規定の成立プロセスの解明をおこなう。
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研究実績の概要 |
旧民法・明治民法に比較し、旧商法・明治商法については、立法資料が整備されておらず、編纂プロセスの詳細がほとんどといってよいほど知られていない。このような顕著な差をデジタル化によって一気に埋めるため、本年度も、旧商法・明治商法に関する資料のデジタル化を進めた。 本年度は、旧商法に関する計335回の議事録と明治商法に関する計129回の議事録のテキストデータを作成した。作成したテキストデータは、XMLとしてマークアップした上で「条文沿革データベース」(https://law-platform.jp)に登録し、各段階の条文案と対照して閲覧できるようにした。 さらに、ロエスレル草案の独文草案(Entwurf eines Handels-gesetzbuches fur Japan mit Commentar)、商社法の独訳および英訳資料(Handelsgesellschaftsordnung/Commercial Companies and Associations Act)、旧商法の英訳資料(司法省記録課『Commercial Code』)、明治商法の独訳資料(ボルヒャルトのDie Handelsgesetze des Erdballs(地球の商法典)に掲載)と英訳資料(レーンホルムのThe commercial code of Japan and the law concerning its operationに掲載)をテキストデータとして作成した。これらの欧文資料に関しても、各段階の条文案と対照して閲覧できるようにした。 上記のように、閲覧できる資料が充実してきたため、データベースのユーザーインターフェイスの見直しなど、システムの改良を行なった。資料の充実とシステム改良により、データベースへのアクセス数は昨年度の6倍以上に増加し、特にシステム改良後に、大幅に増加した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
議事録のテキストデータ化については、2021年度に整備することを計画していたが、これを前倒して実施することができた。また、計画では、テキスト量が多い議事録については、すべてをテキストデータにすることが困難であると考えていたが、OCRとクレンジング処理により十分な精度のテキストデータを得られることがわかり、ほぼすべての議事録をテキストデータ化できた。
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今後の研究の推進方策 |
前年度までに整備したデータを元に、まずは、商法において、外国法がどのように取り入れられたかを具体的に明らかにする。その上で、既におこなった民法の参照状況と比較するほか、重複して参照している場合に、民法、商法、外国法の関係性について、分析をおこなう。また、民法と商法の比較分析として、法典論争において、重複・抵触とされた規定を網羅的に検証する。重複・抵触とされた規定は、民法と商法が交錯していた部分であり、両法の調整の過程を明らかにする。 分析にあたっては、テキストマイニングなどの分析手法を活用する。議事録は、既にXMLデータになっているため、発言者や話題ごとの特徴語を分析する準備は完了している。
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