研究課題/領域番号 |
19K13563
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05060:民事法学関連
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研究機関 | 広島大学 (2020-2023) 京都大学 (2019) |
研究代表者 |
安永 祐司 広島大学, 人間社会科学研究科(法), 准教授 (10807944)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 法の実現 / 司法制度改革 / 民事裁判 / 民事執行 / 差押禁止債権 / ダブルトラック / 養育費 / 仲裁合意の効力拡張 / 面会交流 / 仲裁 / 民事手続法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、法の実現のために債務者に対して一定の行為を強制することが問題となる事案において裁判所が果たすべき役割について、多角的・包括的に行うものである。そこで、第一に、行政作用と権限が競合する場合(とりわけ違法行為の差止め)に、司法作用がどのような役割を果たすべきか、第二に、子供の引渡しや面会交流の場面における家庭裁判所の役割をどのように捉えるべきか、第三に、より実効的に裁判の強制執行をするためにはどのような方策が考えられるかについて、それぞれ検討することを目的としている。
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研究実績の概要 |
本研究は、司法制度改革において提示された「21世紀の我が国社会において司法が果たすべき役割」が、現在どれほど果たされているか、その後の社会の変化に対してどのような対応がされてきたか、あるいは今後どのように対応すべきかについて、幅広く検討することを目的としている。 2023年度における研究のうち重要と思われる成果は次の2点である。 第1に、債権の差押禁止の問題である。強制執行の制度設計にあたっては、その実効性を確保する必要がある一方で、強制執行を受ける債務者個人の生活を保障すべき点にも留意が必要である。本研究代表者は、2023年度、法務省がこのような認識から実施した外国法制調査に関与する機会を得、ドイツにおける給料債権および預金債権に対する差押禁止の規律について紹介・検討した。まず、給料債権につき、債権者と債務者の利害状況について緻密な検討の上で詳細な差押禁止規定(最低差押禁止額、債務者が扶養する者がいる場合の差押禁止額の加算の仕組み、複数の給料債権を有する場合の合算の仕組みなど)が置かれている。また、差押禁止口座にかかる預金債権については、我が国におけるように差押取消しを申し立てることなく、一定額について自動的に差押えを禁止してもらえることになっている。いずれも債務者の生計費確保にかかる手続的負担を軽減するという利点があるが、立法論としては、制度が複雑となるため、関係当事者(特に、使用者や金融機関)の体制整備にかかる負担や実際の運用における手続的な負担について留意が必要であると指摘した。 第2に、民事差止訴訟と行政訴訟の併存(ダブルトラック)問題の解消の方向性について、2021年度に、特定商取引法の場面を取り上げて立法論的な検討を加えたところ、2023年度は、特に景品表示法の場面を念頭に置いた検討を行った。 なお、研究期間全体を通じた成果については、研究成果報告書を参照されたい。
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