研究課題/領域番号 |
19K13572
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05060:民事法学関連
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研究機関 | 名古屋経済大学 |
研究代表者 |
濱口 弘太郎 名古屋経済大学, 法学部, 准教授 (50756319)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 損害賠償 / 利得禁止 / 損益相殺 / 損害 / 後期高齢者医療給付 / 遅延損害金 / 扶養 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ドイツ法並びに東アジア法等との、比較法的研究により、損害賠償法における「利得禁止原則」の見直しを行うことを目的とする。 損害賠償は「原状回復」を目的とするため、一般に、損害賠償法では、「利得禁止原則」が妥当するものと理解されている。しかし、利得禁止原則には例外が多く、この原則が普遍的に妥当することには疑問を呈さざるを得ない。「利得禁止原則」に批判的な検討を加えることで、最終的には、損害賠償の目的である「原状回復」の意義を明らかにすることにつながる。
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研究成果の概要 |
交通事故を始めとする不法行為などにおいて、被害者が損害だけでなく保険金等の利益をも受けることがある。賠償額を定めるにあたり、この利益を損害から控除することを損益相殺といい、被害者は加害行為によって利益を受けてはならないとする「利得禁止」原則の現れであるとされる。もっとも、実際の紛争処理を見ると、被害者が死亡した場合の生命保険金は損益相殺の対象にならないし、判例は建物火災の場合の火災保険金も損益相殺の対象ではないとしている。 実際には、利得が強要される利益が多数存在する中、果たして、「利得禁止」原則は正しいといえるのかについて、個別の問題及び一般的な準則について再検討を行った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
損益相殺は身近な問題でありながら、利益の控除が行われない事例も多く、特にその理論的な背景について究明が待たれていた。実際の裁判等における紛争処理は、判例等で対応することもできるが、それを支えている法理論が明確でなければ、判例も混乱し、安定した実務処理を行うことも難しくなる。実際、損益相殺は、最高裁判所が一度出した判断を変更する判例変更が多い分野でもある。 本研究が、損益相殺の根拠とされる「利得禁止」原則について、理論的な検討を行ったことで、さらなる理論の発展を促し、結果として、実務の発展や安定に繋げることができる。
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