研究課題/領域番号 |
19K13589
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 駒澤大学 (2020-2022) 京都大学 (2019) |
研究代表者 |
崔 佳榮 駒澤大学, 法学部, 講師 (30816989)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 幼保無償化 / 少子化対策 / 家族主義福祉レジーム / 福祉国家 / 保育政策 / 家族政策 / 日韓比較 / 保育の無償化 / 幼児教育の無償化 / 少子化政策 / 政治過程 / 韓国政治 / 日本政治 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、保育や介護などケアサービスに対する家族の負担が重い「家族主義福祉レジーム」において保育政策と介護政策の福祉政策上の優先度はともに低いはずであるにも関わらず、何故、日本と韓国はそれぞれ介護政策と保育政策に重点を置くという逆の方向性を持って脱家族化政策を進めてきたのか、その原因を二国における制度的違いから探ることを目的とする。さらに、保育政策と介護政策が拡大・現状維持・縮小される政治過程において、いかなる政治的資源が利用され、どのような戦略が展開されたのかを検討することで、高齢者世代や子育て世代など、特定の集団に利益をもたらす福祉政策が発展していくメカニズムを明らかにすることを試みる。
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研究成果の概要 |
日韓においてなぜ幼保無償化はそれぞれ経済政策と家族政策として位置づけられることで実現したのか?本研究ではその政治過程を言説的制度論から分析した。権力が分散する日本では、保守勢力の与党議員を説得するために、子どもを持つ家族に恩恵が及ぶ幼保無償化が、経済活性化につながる経済政策であることが賢明にアピールされた。他方、権力が集中する韓国においてより重視されるのは、政治エリートが国民を説得することである。有権者の約半数を占める女性に加えて、さらに多くを占める若年層は、普遍的福祉を掲げる革新勢力を力強く支持していた。それゆえに、幼保無償化は子どもを持つ家族を支援するための政策として位置づけられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、少子化対策の一環として幼保無償化が実現した日本と韓国において、同政策の位置づけと対象に大きな差が見られるのは、日韓両国の異なる政治制度に起因することを明らかにしている。「制度がアクターの戦略を規定する」という新制度論の命題を実証したという点を本研究の学術的意義として指摘したい。また、深刻さを増している少子化問題に悩まされている先進諸国が、今後少子化政策を拡充していくためには、それぞれの政治制度の持つ特徴を踏まえて、どのアクターからの支持が鍵となるのか、また、彼らから支持を動員するためにはどのようなアイディアを採用する必要があるのかに関する手がかりを提供するという社会的意義を持つ。
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