研究課題/領域番号 |
19K13594
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 釧路公立大学 |
研究代表者 |
千田 航 釧路公立大学, 経済学部, 准教授 (80706747)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 家族政策 / フランス / 福祉国家 / 普遍主義 / 適用除外 |
研究開始時の研究の概要 |
リーマン・ショックとユーロ危機によって、福祉国家では相反する利益の実現が求められている。それは経済の安定化に資する普遍主義的現金給付と財政状況の改善に資する予算削減の両立である。ここでは、近年の社会政策をめぐる「社会的投資のパラドクス」と「再分配のパラドクス」の2つのパラドクスから、2010年代以降の福祉国家の戦略が「適用除外の政治」であるという仮説を提示する。そして、フランス家族政策で近年実施された「家族手当への所得要件の追加」を事例に、普遍主義と予算削減を両立させる「適用除外の政治」が戦略として採用されたことを解明する。
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研究成果の概要 |
フランスでは2015年に家族手当に所得要件を追加した。これは、すべての子どもを対象とする普遍主義を維持する一方で、高所得層には給付額を削減する改革であった。なぜ普遍主義を維持したまま給付を削減する対応を行ったのだろうか。本研究では、この対応を「適応除外の政治」と名付け、2010年代に特徴的な対応であることを明らかにした。 オランド大統領は普遍主義を維持しながら高所得層へ対処すると発言していた。家族の利益を代表する全国家族協会連合は反対していた。しかし、予算削減への圧力が強い一方で、貧困率の上昇は一定程度に抑えられていたため、反対にもかかわらず「適用除外の政治」が行われたことを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
学術的な意義として、2010年代における家族政策の政治的戦略の一般化が挙げられる。社会保障は、予算削減の圧力のなかで政策を実行しなければならない。家族政策は、仕事と家庭の調和や少子化から子育て支援の拡充が求められ、その財源として現金給付の削減が出てきた。しかし、すべての子どもに支給する普遍主義が一度達成されてしまうと再び選別主義に戻るのは難しい。そこで高所得層には給付するものの金額を引き下げるという「適用除外の政治」が実行された。 社会的意義として、日本の児童手当における2022年の選別主義の復活と2024年度以降の普遍主義の復活という事例にも適用可能であることが挙げられる。
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