研究課題/領域番号 |
19K13611
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
永田 智成 南山大学, 外国語学部, 准教授 (20734932)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 分権化 / 独立運動 / 地域政党 / スペイン / イタリア / カタルーニャ / 南欧 / 連邦制化 / 民営化 / 住民投票 / 分権化改革 / 連邦制 / 分離主義 / 連邦制の逆説 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、スペインとイタリアの地域政党の比較を通じて、なぜ両国の地域政党は大きく異なる帰結へと向かっているのかを考える。具体的な対象は、スペインからの分離を唱えるスペイン・カタルーニャと、地域政党という性格を捨てて全国政党と化し、欧州懐疑主義へとその軸足をシフトさせているイタリア北部である。共にかつては国内において地域の独自性を強調する地域政党であった。 上記の目的のため、これまでの両国の選挙結果と公約の関係を分析し、有権者はどのような公約を支持していたのか検討する。その上で地方政府の権限と分離独立運動の展開度について検討する。
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研究実績の概要 |
本研究課題としては最終局面に来ているが、コロナ禍では十分にできなかった現地調査を実施し、その成果をまとめるために、研究期間の延長を申請した。2022年度は、2021年度までに得た知見をまとめる作業を実施した。すなわち、統一通貨ユーロに参画するという目的で民営化と分権化がスペインとイタリア両国で進展し、その分権化要素が中央集権化に資することなく、地域の独自性を高めるものへとつながったという見方である。分権化は地域の力を強めただけでなく、地域政党の強化および立場の向上につながった。 こうした知見から着想を得て、日本政治学会では「スペインにおける政党システムの変化」について報告を行なった。スペインでは国政において少数与党政権が生存可能なのは地域政党が強力であり、閣外協力により生存可能であるという報告の一部は、上記研究成果から着想を得ている。政党システムの変化に関する論文は、2023年6月頃公刊される予定である。 また2019年度以来の現地調査ができたことも大きな成果であったが、同時に新たな課題も発見した。現在のカタルーニャでは独立運動は沈静化しているように感じられ、専門家からの意見聴取でも、独立が最適解ではないという結論に市民が至ったという見解を示している。では、どうして沈静化したのか。コロナ禍という特別なファクターがあることは承知しつつも、社会運動が沈静化に至るプロセスというものがあるならば、その再検討も課題である。 今後はまとめることができなかった統一通貨ユーロへの参画と分権化の問題について、論文として公刊することを目標としたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
統一通貨ユーロへの参画がスペインとイタリア両国における分権化の進展において大きな役割を果たしたということが仮説として浮上しているが、それを論文として公刊できていない。また現地調査をこれまでほとんど行うことができず、今年度ようやくそれが可能となり、新たな課題も発見することとなった。その新たな課題についても、本研究課題の課題の範疇と考えており、引き続き検討することとなる。以上の理由から、進捗状況においてはやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2つの課題解決に向けて検討したい。 ひとつは統一通貨ユーロに参画するという目的で民営化と分権化がスペインとイタリア両国で進展し、その分権化要素が中央集権化に資することなく、地域の独自性を高めるものへとつながったという見方について、査読所見を検討しながら再度論文として投稿し、本研究の締めくくりとしたい。 同時に、独立運動の沈静化についても、現地調査の知見を交えながら、報告できるように努めたい。
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