研究課題/領域番号 |
19K13634
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
|
研究機関 | 名古屋大学 (2020-2022) 日本大学 (2019) |
研究代表者 |
大久保 明 名古屋大学, 法学研究科, 准教授 (90802728)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | 宥和政策 / イギリス外交史 / イギリス外交 / 国際連盟 / パリ講和会議 / ジュネーヴ軍縮会議 / 国際政治史 / イギリス / 外交史 / 国際関係史 / 国際政治学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、19世紀後半から戦間期にかけてのイギリス政府のヨーロッパ情勢認識を、政府史料および政治家・外交官・知識人の私文書を包括的に調査・分析することで明らかにする。その際に、イギリス政府当局者の「宥和政策」の捉え方に焦点を当て、とりわけ第一次世界大戦期から1930年代へと至る変化と連続性に着目する。「宥和政策」の実態を史料に基づいて明らかにすることで、現代外交や国際関係論に関する隣接分野への貢献も期待され、波及効果があると考える。
|
研究実績の概要 |
本研究は、19世紀後半から20世紀前半にかけてのイギリスの対外政策を一次史料に基づき再検討し、「宥和政策」に関する理解を修正することを目的とする。「宥和政策」とは、他国との交渉と妥協を通じて平和維持を目指すことと定義でき、その意味において「外交」という営みの中核に位置する政策である。しかし、先行研究では、「宥和政策」を1930年代に特有の現象と捉えるものが多く、第二次世界大戦を防げなかった「負」の側面が強調される傾向が依然として強い。本研究では、同政策を19世紀以来のイギリスの長期的政策の延長戦上に捉えなおし、各時代におけるイギリスの外交当局者の認識を一次史料に基づき精査する。そうすることで、「宥和政策」が、国力の限界から起こった一過性の現象ではなく、イギリスの対外政策のより深層に位置する伝統に根ざしていたことを明らかにする。
上記の研究目的を達成するべく、令和4年度は1930年代のイギリス外交に関する政府史料(FO 371など)を読解し、ジュネーヴ軍縮会議前後におけるイギリスの軍縮政策、再軍備政策に関する論文執筆に取り組んだ。同会議は、国際連盟の主導のもとで行われた陸軍兵力を中心とする広範な軍備の削減を目指した国際会議であったが、ドイツが脱退したことにより失敗に終わった。同会議は、戦間期が安定期から混乱期へと切り替わる分水嶺に位置し、精査に値するが、先行研究は少ない。同会議におけるイギリスの政策を精査する論文を執筆しており、可能な限り早期に公開したいと考えている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度も新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響が続いたことから、海外資料調査を実施することができず、研究に遅れが生じた。本研究は資料館で一次史料の綿密な調査を実施することが大前提であったため、COVID-19により3年間在外調査ができなくなったことは大きな打撃となった。資料館史料の不足分は、公刊史料を調達したり、インターネットで入手可能な史料で可能な限り補い、研究を進めたが、肝心の史料にアクセスできない状態が続いた。そのため、当初の計画通り研究を発表できず、「やや遅れている」という判断となった。
遅れを挽回するため、令和5年度まで研究を継続するための申請を行った。令和5年度には海外史料調査を実施できる予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
研究期間延長の申請が通ったため、令和5年度が研究最終年度となる。令和5年度の12月に、ロンドンでの資料調査を計画している。大学業務や、その他の研究プロジェクトとの兼ね合いで、年末年始にようやく本プロジェクトと関係する海外調査を実施できる。COVID-19が蔓延する直前の2020年1月以来の、本プロジェクトに基づく海外調査となる。この海外調査に向けて、令和5年4月から12月にかけて、調査の事前準備を進めるとともに、学術論文の執筆を進める。海外調査を実施後、調査した史料を早期に読解し、令和5年度中に論文を完成させて学術誌に発表する計画である。執筆中の論文のテーマは、1932-34年のジュネーヴ軍縮会議前後におけるイギリスの軍縮政策、再軍備政策、宥和政策についてである。
|