研究課題/領域番号 |
19K13637
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
西 直美 同志社大学, 研究開発推進機構, 共同研究員 (50822889)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ナショナリズム / イスラーム主義 / タイ / 深南部 / 伝統派 / 改革派 / タイ深南部 / マレー・ナショナリズム / ジハード主義 / サラフィー主義 / イスラーム / 伝統 / ビドア / 国家 / 宗教 / イスラーム復興 / マレーシア / 脱過激化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究が検討したい問いは、なぜ特定の地域にはグローバルなジハード主義の影響がない(とされる)のか、というものである。テロリストやテロ行為の「制圧」の効果が疑問視されるなかで、近年では過激主義やテロリズムを防ぐことを念頭に置いた「脱過激化」が注目されるようになっている。脱過激化とは、テロリストの社会復帰プログラムを中心とし、より広義には人々の過激化を防ぐことを念頭に置いた各種政策のことである。本研究では、タイとマレーシアにおける「脱過激化」をめぐる政治と社会変容について検討を行うことを通して、ナショナリズムやイスラーム主義が脱過激化に果たしうる役割について考察したい。
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研究成果の概要 |
タイにおいて、脱過激化をめぐる政治は、とりわけイスラーム教育の場を舞台に展開してきた。本研究では、マレーシアとの国境に位置するタイ深南部を中心に、ナショナリズムとイスラーム主義が果たした役割について検討を行った。イスラーム復興の流れで台頭した原典回帰志向を強くもつサラフィー主義はむしろ、タイの文脈で過激主義とみなされてきたマレー・ナショナリズム運動を相対化し、マレー・ムスリムのタイへの統合を進めた側面がある。さらにマレー・ナショナリズムは、深南部のムスリム社会にグローバルなジハード主義が浸透することを防いできた側面があることを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
タイ深南部に関する研究では、これまで紛争やナショナリズムに注目が集まってきた。本研究はイスラーム主義の観点から、深南部問題を読み直すことを試みた。何を「過激派」とみなすか、それ自体が政治であり、時代によっても国によっても異なる。9.11以降、世界的に過激派の代名詞ともみなされたサラフィー主義は、タイの文脈ではイスラームを強調することで民族を相対化し、むしろ脱過激化を促進する動きであると捉えられた。それに対して過激主義だとみなされてきたのが、マレーナショナリズムである。また、日本では研究蓄積がなかった地域であり、まとまった著作として出すことができた意義は大きい。
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