研究課題/領域番号 |
19K13639
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
五十嵐 元道 関西大学, 政策創造学部, 准教授 (20706759)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 武力紛争 / 国際人道法 / 国際刑事裁判 / 人権 / 国連 / ICTY / 文民保護 / 紛争 / 統計 / リフレクシビズム / 国際関係論 / 安全保障 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、武力紛争下で文民の死者数がどのように数えられ、その数字をめぐり、どのような政治闘争が展開されてきたのかを歴史的に分析する。ここで言う文民とは、どの武装勢力にも属さず、戦闘にも参加していない一般市民を指す。われわれは、文民死者数が多いと(特に子どもの犠牲が目立つと)その紛争が悲惨であると認識する。このように、死者数をめぐる数字は、武力紛争の性質そのものを決定し、それに対する対応策も規定する。そこで本研究は「紛争下での文民死者数データの生成の構造と、その歴史的展開」を明らかにすることを目的とする。本研究は、方法論として社会学の「場の理論」を援用する。
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研究成果の概要 |
本研究プロジェクトでは、武力紛争に伴って命を落とした市井の人々について、誰が調査し、データ化しているのかを調査・研究した。このデータ化においては、国際NGOと国際組織が非常に重要な役割を果たしていることが明らかになった。国際NGOは1970年代以降、このデータ化の取り組みを行っており、2000年代以降にはNGOの増加とともに、データ量は一気に増加した。それと同じか、それ以上に重要なのが、国際組織によるデータ化の試みである。国際刑事裁判所のように、武力紛争に伴う刑事責任を問う組織に加えて、国連の人権関連組織(たとえば、人権理事会や人権高等弁務官事務所など)もまた非常に重要な役割を果たしてきた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年、武力紛争に関する研究は、計量分析によるものが多い。それらは武力紛争に関するデータセットを用いる。無論、そこには死者数などのデータが含まれている。本研究プロジェクトは、そうしたデータセットのデータがどのような政治的闘争を通じて生成されてきたのかを明らかにした。ここからは、データの客観性が必ずしも自明ではないという示唆が導き出される。また、本研究プロジェクトは、一般社会が武力紛争を認識するマクロな構造そのものの一端を解明したという点で、社会的意義もある。すなわち、メディアから流れてくる紛争データがどのように作られているか、一定程度明らかにしたのである。
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