研究課題/領域番号 |
19K13641
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
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研究機関 | 学習院大学 (2021-2022) 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所 (2019-2020) |
研究代表者 |
江藤 名保子 学習院大学, 法学部, 教授 (30648332)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2019年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 統一戦線工作 / 国際話語権 / 戦略的コミュニケーション / 日中関係 / 第三国市場協力 / 東南アジアの華人社会 / 「一帯一路」と東南アジア / 中国政治 / 中国外交 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、中国の国内における世論形成と対外的な世論政策(パブリック・ディプロマシー)がどのような政治的枠組みのもとで連動しているかを、統一戦線工作をキーワードとして考察する。 極めて複雑な様相を見せ始めた中国の世論対策は、どのような目的、組織構造によって実施されているのか。そして中国の対外政策とどのように連携しているのか。本研究はこの2つの疑問を検証し、共産党一党独裁体制下での世論形成において統一戦線工作が重要な役割を果たす政治構造を考察する。分析対象は共産党・政府の世論誘導の戦略(論理、政策、実施)とそれに付随する国際社会に対する宣伝活動および人的・組織的ネットワークを用いた世論誘導である。
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研究実績の概要 |
昨年度に続き、2022年度もコロナ・パンデミックのために海外での現地調査を実施することが出来ず、資料調査と執筆を中心に研究活動を実施した。そのため研究プロジェクト全体としては遅延が続いている。他方で2022年度は米中対立に加え、2月のロシアのウクライナ侵攻や10月の第20回共産党大会など大きな政治情勢の変化を受け、中国外交がより強く独自の価値観を打ち出していくようになった1年であった。そのため本研究の意義に直結する事例を複数観察することができた。 興味深い変化としては、従来は国内向けの宣伝工作と考えられてきたような共産党政権が政策的に作り上げてきた中国の政治理論が、より精緻に理論化され、明示的に対外政策に反映されるようになったことがある。なかでも、これまで中国外交にとってボトルネックと見なされてきた民主主義や人権に関する政治的な欠損を、これこそが中国式の統治モデルなのだと主張するようになった。 本研究では中国独自の「民主」的価値について、国内統治の論理であると同時に対外的な影響工作として検討し、その成果を『国際問題』2月号(2023年2月刊行)に「『中国式民主』の現在地――政治体制の競争か、共存か」として発表した。また中国の政党制度の論理ついても同様に内政と外交の重複として分析し、英語論文“The Xi Jinping administration’s desire for legitimacy: the strategic implication of its “new political party system””としてJournal of Contemporary East Asia Studies(Volume 11, Issue 2)にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ・パンデミックを受けて現地調査が出来なかったことが遅れをもたらしている。
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今後の研究の推進方策 |
本年は現地調査が可能な環境になったことから、シンガポール、台湾への出張を実施する。 また2022年度に英語の学術誌に論文を発表して一つの区切りを得たが、中国政治そのものにも変化がみられることから、情報を刷新しつつ考察をより深めていく。
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