研究課題/領域番号 |
19K13642
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
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研究機関 | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
研究代表者 |
江崎 智絵 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 人文社会科学群, 准教授 (70647297)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ハマース / パレスチナ / イスラエル / 国際関係 / 地域研究 / 紛争 / 非国家主体 / アメリカ / 中東和平 / 対外政策 / 脅威認識 / 安全保障 / 中東 |
研究開始時の研究の概要 |
オスロ・プロセスが停滞して以降、現在に至るまでの期間は、ハマースの動向に注目すると以下の3つの時期に区分することができる。第一期が2001年から2005年まで、第二期が2006年から2010年まで、第三期が2011年以降である。本研究の対象期間は、第三期に該当するものである。 本研究では、2012年以降のパレスチナ情勢を事例として取り上げ、まず、パレスチナ内部の政治情勢および同地域を取り巻く国際関係の推移を時系列で整理する。それを踏まえ、①パレスチナ内部のパワー・バランスにおけるハマースの動き、②ハマースと近隣中東諸国との関係、という2つの側面について同時並行的に分析していく。
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研究実績の概要 |
2023年度は、イスラエル・パレスチナ(2023年9月)およびヨルダン(2024年3月)で現地調査を行った。その間の2023年10月には、ハマースによるイスラエル襲撃事件(以下、10.7事件)が発生し、ヨルダン川西岸地区およびガザ地区のパレスチナ人住民を取り巻く環境は様変わりした。今後のハマースの戦略を分析するうえで、10.7事件は転換点となろう。10.7事件の発生前に実施した現地調査では、高齢のアッバース・パレスチナ自治政府大統領の後継者問題が注目される中で、ハマースがポスト・アッバース期の政治領域において関与を強めるべく、準備を進めていることが分かった。また、ハマースには、対イスラエル武装闘争が依然として重要な手段であると認識されており、レバノンのヒズブッラーなどの組織との連携を深めている状況にあったことも確認された。イスラエルについては、ガザからのロケット攻撃の有無によって選別される、ハマースへの経済的誘因の提供と軍事力の行使という「アメとムチの政策」が効果を上げているとの認識が存在することがうかがわれた。これらも併せて、ハマースの内政・外交戦略には、実利を得るために何を資源とするのかという思考が存在していると思われる。
研究期間全体を通じて、本研究が設定した2つの局面―パレスチナ内部のパワー・バランスとハマースの対外関係―に対するハマースの戦略については、ハマース内部の指導者間関係の変化が影響を及ぼしていることを分析した。具体的には、2012年以降、対外関係を所掌していたパレスチナの外に位置するハマースの在外指導部が中東の友好諸国との関係を悪化させたことで、組織の権力の中心がガザ内部へとシフトし、新たな対外および対ファタハ指針の策定という、2つの局面に適用可能な立場が示されるようになったといえる。
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